エッジサーバは、以下をはじめとする多くの医療アプリケーションでも重要な役割を果たしています。
こうした医療分野では、機器の故障が患者の死亡や傷害につながる可能性、セキュリティ侵害によって患者の健康に関する機密データが漏えいする可能性が懸念されるほか、高温や無菌環境に耐えられる設計が不可欠です。エッジサーバは、低遅延と高信頼性が求められるミッションクリティカルな医療アプリケーションにさまざまなメリットを提供しています。
スマートシティーでは、都市が抱えるさまざまな課題の解決に必要な特定データを収集するため、無数のIoTデバイス(センサー、照明、カメラ、メーターなど)が設置されています。数多くのデバイスで構成された大規模なネットワークと継続的なデータフローを活用するスマートシティーは、エッジサーバを用いたデータ処理とアクチュエータ制御によって次のような機能を実現しています。
例えば、スマートカメラが交通を監視する際、車線方向の交通情報表示、道路の閉鎖、信号の動作など、いつどのようなアクションを取るべきかを決定する必要があります。エッジサーバによるローカルデータ処理と低遅延は、これらを迅速かつ確実に決定し、円滑なオペレーション、安全性、効率性を確保することができます。
スマートシティーを支えるエッジサーバには、過酷な屋外環境でも動作が可能で、広い温度範囲において信頼性の高い性能を発揮することに加えて、衝撃や振動への耐性が不可欠な要素となっています。
エッジサーバによるローカルデータの前処理は、自律型のビデオ分析や侵入検知など、さまざまなセキュリティや監視業務において重要な役割を担っています。
例えば、一般的なセキュリティシステムはクラウドに直接接続された複数のビデオカメラで構成されています。セキュリティ担当者はクラウドにストリーミングされるビデオコンテンツを分析する必要がありますが、ストリーミングには遅延時間が発生します。データが遠隔地のサーバから送られてくる場合、時間がかかりすぎることで、セキュリティ脅威への迅速な対応が困難になることもあります。
一方、エッジサーバを利用してローカルデータを前処理した場合、エッジサーバはデータをフィルタリング、クリーニング、圧縮することで、分析が必要な情報だけを最小限の遅延でクラウドに送信することができます。低遅延によって意思決定は迅速化され、セキュリティ担当者は必要に応じて素早く行動を起こし、必要なタイミングで脅威に対応することが可能です。
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