エッジサーバの代表的なアプリケーションを7つ紹介しました。エッジサーバには、アプリケーションによって性能やストレージ、温度に関してそれぞれ特定の要件があります。ですが、ストレージ製品に関しては、各業界を通じて以下のような共通する要件もあります。
これらはストレージ製品に対する業界共通の要件ですが、それぞれの優先度/重要度はアプリケーションや業界のニーズによって異なります。適切なストレージ製品を選択するには、エッジサーバに求める優先事項として「熱管理」と「性能」の2つを考慮する必要があります。
熱管理はエッジサーバにとって共通の課題です。専用の冷却システムを備えたデータセンター内のサーバと違い、一般的な現場のエッジサーバは過酷な温度環境への配慮が必要で、スマートシティー、RAN、倉庫アプリケーションでは特に重要です。
コンパクトな密閉設計が求められるエッジサーバはエアフローが制限されるため、CPUから発生する熱を閉じ込め、ストレージの近くに集中させてしまいます。通常、コンパクト設計は設置面積を最小限に抑える上でメリットとなりますが、熱管理の観点からは動作の信頼性と性能の低下を引き起こす可能性に留意する必要があります。エッジサーバの熱管理において、小型で高い性能を発揮するストレージ製品はデメリットになることもあるのです。
また、エッジサーバの熱問題は、電力消費の結果として生じる自己発熱によってさらに複雑化します。自己発熱を抑える一般的な手法の1つは、有効帯域幅を制限して発熱を抑えるサーマルスロットリングです。ですが、安定したサービス品質(QoS)を求めるアプリケーションでは、性能低下につながる強力なスロットリングは受け入れられません。
エッジサーバにおける熱管理の課題を解決する鍵は、エネルギー効率と性能を最適化した低消費電力のストレージ製品を選択することにあります。低消費電力のストレージ製品は高い性能を犠牲にすることなく、熱管理を優先する必要があるエッジサーバに最適であり、全体的なQoSの向上を図ることができます。
エッジサーバの熱管理はアプリケーションを問わず共通の課題ではありますが、一部の分野においては必ずしも最優先の懸念事項ではありません。医療分野をはじめとするミッションクリティカルな用途では、熱管理よりも、高い性能を持続して発揮できるストレージ製品が求められます。これらのエッジサーバが必要とするエンタープライズクラスのストレージ製品は、ファームウェアとハードウェアのバランスを最適化することで、デバイスの耐久性を最大化しながら十分な性能レベルを提供します。
そして、こうした高性能に対するニーズを満たす上では、堅牢な設計、拡張された動作温度範囲、成長するエッジサーバ市場で実証された知識、要求の厳しいセキュリティやIoTおよびミッションクリティカルなアプリケーションにおけるデータの保存および保護に関して、多くの実績を持つ信頼できるパートナーを選ぶことが必要です。
エッジサーバ特有のストレージ要件や熱管理の課題に対応するストレージ製品の一例として、スイスビットでは、PCIeの高速データ転送に加えて低消費電力と低発熱を特徴とするSSD製品N3000シリーズを提供しています。N3000 PCIe Gen4 SSDシリーズは低消費電力と高信頼性を重視した製品で、−40℃〜+85℃の幅広い温度範囲に対応します。低消費電力を実現する4チャンネルPCIe NVMeアーキテクチャを採用していて、サーマルリスクを軽減し、高い性能を維持することができます。
スマートシティーなどのミッションクリティカルなアプリケーションでは、エッジサーバの障害が交通渋滞や衝突事故、身体的危害や死亡につながる可能性があります。このような厳しい環境では拡張温度保証は非常に重要な要件となります。
エッジサーバは過酷な環境下でも低遅延と高信頼性を実現することで、クラウドサーバでは対応が難しいスマートシティー、医療、倉庫、RANといった幅広い用途に適しています。
さまざまな用途で利用可能なエッジサーバですが、導入成功の鍵はアプリケーションに適したストレージ製品の選定にあります。エッジサーバは、必ずしも冷却システムが整った屋内環境に設置されるとは限りません。スマートシティーをはじめ過酷な温度環境にさらされる屋外への設置が求められるアプリケーションでは熱管理が非常に重要です。一方、医療などのミッションクリティカルな用途では、サーマルスロットリングを最小限に抑えながら高い性能を持続的に発揮する最適なバランスが求められます。
エッジサーバは、アプリケーションに応じた個々の要件を満たすことができる適切なストレージ製品と組み合わせることで、最大限の性能を発揮します。エッジサーバと組み合わせて使用するストレージ製品を選択する際は、多様化するエッジサーバ市場の増大するニーズと複雑性に精通し、実績豊富な信頼できるパートナー選びもまた重要なポイントの一つです。
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