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修理を通して情報を入手! RCC電源IC「MAシリーズ」から学んだことWired, Weird(2/2 ページ)

» 2025年02月20日 10時00分 公開
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MA3000シリーズを使った電源基板

 次はMA3000シリーズを使った電源基板の例だ。修理した基板を図3に示す。

<strong>図3:MA3000シリーズを使った電源基板</strong>[クリックで拡大] 図3:MA3000シリーズを使った電源基板[クリックで拡大]

 図3はモータードライバーの電源部だ。MA3000シリーズのICはトランスの右側にある赤四角で示したICだ。MA2000シリーズを参考にしてテスターで部品を確認したが、図2の2ピンと1ピンの接続が違った。またAC100Vの電源では動作しなかったので、メーカーに資料開示を依頼した。入手できた資料を図4に示す。

<strong>図4:入手したMA3000シリーズのICの資料</strong>[クリックで拡大] 図4:入手したMA3000シリーズのICの資料[クリックで拡大] 出所:新電元工業「部分共振電源用ICパワーモジュール MA3000シリーズ アプリケーションマニュアル」

 図4の左は応用回路例で右は等価回路とピン番だ。やはり1ピンの回路が変わっていた。トランスから発生するサージの吸収方法が改善されていた。AC200V仕様のICだった。この資料のおかげで電源部の回路を動作確認でき、修理を終えられた。

最後はMA4000シリーズを使った電源基板

 最後はMA4000シリーズだ。MA4000シリーズを使った電源基板を図5に示す。

<strong>図5:MA4000シリーズを使った電源基板</strong>[クリックで拡大] 図5:MA4000シリーズを使った電源基板[クリックで拡大]

 図5はMA4000シリーズを使った電源の生成部だ。図5中央の赤四角で示した部分の放熱板に固定されている部品がMA4000シリーズのICだった。図2を基にテスターで確認したが、全く違う回路だった。早速メーカーへ問い合わせし、MA4000シリーズの資料を入手した。図6に参考回路図を示す。

<strong>図6:入手したMA4000シリーズの資料の参考回路図</strong>[クリックで拡大] 図6:入手したMA4000シリーズの資料の参考回路図[クリックで拡大] 出所:新電元工業「スイッチング電源用ICパワーモジュール MA4000シリーズ アプリケーションマニュアル version.2」

 図6はMA4000シリーズの参考回路例だ。メインのトランジスタはFETに代わっていた。ピン数は同じだが過電流検知の回路が追加されていた。特に3ピン、4ピンの回路が大きく変わり、安全面を配慮した回路になっていた。特にFETは過熱するとドレインとゲートが短絡し、その結果ドレインとソースも短絡するので、安全回路は必須だ。

 MAシリーズは便利なRCC電源用のICだ。いろいろな電源の修理を通して、MAシリーズの情報を入手できたが、なぜか応用回路と等価回路は開示されていない。恐らく知的財産が絡んでいると思われた。このICを使った機器は多数使用されており、きちんとMAシリーズ回路を把握することが実際の修理には重要だった。

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