なんといっても、構成要素のMOSの数がSRAMに比べると圧倒的に少ないことです。一般的に、SRAMではMOSが6個程度であるのに対し、DRAMは1個で済みます。そのため、高い集積度を可能にし、同じ面積でより大容量のデータを保存可能です。必然的に、DRAMのコストはSRAMより安くなります。
しかし、欠点として、リフレッシュが必要なことが挙げられます。リフレッシュサイクル中はデータの読み書きができないので、アクセスに制限があり、結果的にアクセス速度が遅くなります。さらに、動作中に電荷が移動しますので、消費電力が大きくなります。
DRAMはSRAMに比べ集積度が高いので、マイコンに搭載すると強力なストレージになると思われますが、実際はそううまくいきません。DRAMを搭載しているマイコンはほとんどありません。一般的に、DRAMはマイコンには搭載されず、周辺回路として接続することがほとんどです。
一番の理由は、製造コストです。DRAMは、マイコンのロジック回路とは半導体製造プロセスが大きく異なります。特にDRAMのメモリセルに含まれるコンデンサーを作るプロセスが異なります。通常のマイコン内部にコンデンサーは作ることができますが、面積が大きくなり、電荷の保存性能もDRAMに適していません。DRAMに適した、面積が小さく電荷の保存性能の高い(漏れ電流の小さい)コンデンサーを作るプロセスは、マイコンのロジック回路とは異なります。そのため、マイコンにDRAMを搭載しようとすると、マイコン全体の製造コストが高くなります。
また、アクセス速度が遅いことも一つの理由に挙げられます。SRAMはアクセス速度が速く、マイコンのクロック速度に合わせてアクセスできる点でも内蔵メモリに適しています。CPU内部のレジスタや、キャッシュメモリ*2)に使われているのもSRAM構造のメモリセルです。DRAMは、SRAMと比較してアクセス速度が遅いという欠点があります。
製造コストと併せて、高速な論理回路とDRAMを1つのウエハー上に形成するのが難しいため、一般的に、マイコンには搭載されません。
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