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ステップアップ形DC/DCコンバーターの設計(7)チョーク電流不連続時のリップル電圧たった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計(14)(3/4 ページ)

» 2025年02月25日 11時00分 公開

解析事例

 前回の不連続モードの出力特性で使用した定数を再掲します。各部の定数はを次に示しますがこの条件でのリップル電圧および関連波形を計算します。

   Vcc=10V     f=100kHz
   Ton=3.33μs    L=55.6μH

条件1 RL=198Ω
最初に出力電圧Voを求めます。Voを求めるため本連載の ステップアップ形DC/DCコンバーターの設計(5)で求めたβを使います。
 Ts=10μs、δ=0.333ですから

D式

です。
 このβから出力電圧Voは、

E式

に決まります。

 電圧・時間積から、

F式

ですのでtoff’=3.36μs(δ2=0.336)となります。
 これらの値を10式に代入するとリップル電圧ΔVrは、

G式

となります。この値はシミュレーション波形から得られた図2の69.9mVPPと良好な一致を見せています。

図2:シミュレーション結果[クリックで拡大]

条件2 RL=75Ω
 ちなみに臨界負荷であるRL=75Ω(Io=0.2A)の場合は次のようになります。

 Ts=10μs、δ=0.333ですから、

H式

です。
このβから出力電圧Voは、14.99Vと決まります。また、

I式

の関係からtoff’=6.67μs(δ2=0.667)ですからこれらの値を10式に代入すると

J式

となり、リップル電圧は負荷抵抗に反比例することが確認できます。

 10式を使って負荷抵抗(=負荷電流)を変化させてリップル含有率を計算したグラフが図3(a)(b)です。図3(a)は前回説明したモードIからモードII、そして今回の電流不連続モードまでを含んで描画したものであり、図3(b)は電流不連続モードのみを拡大したものです。なお縦軸はリップル電圧値そのものを採用すると電流不連続モードで出力電圧が変化しますのでモードI、IIと比較する意味が曖昧になってしまいます。図3(b)では出力電圧とリップル電圧の相対値(リップル含有率)で比較します。

図3:リップル含有率(計算値)の変化[クリックで拡大]

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