この10年間で、自動車用バッテリーは12Vから24V(特に商用車用)、そして現在は48Vへと高電圧化する傾向を見せており、一方で車両の軽量化、加速性能と燃費の向上を達成している。
米国と欧州では新車の排出ガス削減に向けて法整備が進められている。規制と市場の動きによる複合的な影響を受けて、スターターとジェネレーターの統合に見られるようなマイルドハイブリッドアーキテクチャへの移行が進んでいる。48Vシステムはマイルドハイブリッドで既に採用が進んでいるが、ICEプラットフォームにも導入される可能性が高い。
48Vアーキテクチャに移行するということは、単にシステム電圧を高くすれば済む話ではない。電気系統の根本的な変更が必要になる。高機能、高性能の自動車で使われる軽量小型部品には、高密度モデルと同程度の電気効率が求められる。
「12Vと48Vのシステムに共通しているのは、従来の機械的機能を実現するためにサーペンタインベルトではなく電気モーターを使用するようになった点である」とUlery氏は指摘する。エンジンの回転を使ってパワーステアリングを実現している例として、同氏は大型ピックアップトラックの例を挙げる。多くの自動車ではパワーステアリングは既に電動化されている。「パワーステアリングは大きな動力が必要でエンジンの馬力を奪うため、エンジンとは別の電気系統から動力を得るように変更することで、ドライブトレインの馬力を維持できる」
自動車業界におけるシステムの高電圧化は、設計や製造プロセスに大きな影響を与えることから、緩やかに進んでいる。メーカーは製品、技術的な成熟度、顧客のニーズに左右されるため、各社で移行スピードが異なる。しかも、使用する技術に関する以下のような基準や設計手法を順守しなければならない。
48Vシステムを実現させる上で、規格に準拠してスマートバッテリーマネジメントを適切に行うことは非常に重要だ。適切な設計プロセスに従うことにより、自動車メーカーは非効率的な電力ストレージ、コスト増、運転手の潜在的な安全リスクを回避できる。
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