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エッジコンピューティングに最適なストレージ製品を選ぶにはPCIe/NVMeの役割とファームウェアの重要性(3/4 ページ)

» 2025年10月14日 10時00分 公開

コンシューマー/エンタープライズ向けSSDはエッジシステムに適さない

 エッジシステムに用いるストレージは、高負荷、過酷な環境、長時間稼働といった課題をクリアする必要があります。コンシューマー向けSSDは十分に制御された環境での使用を前提に、低コストと高いピーク性能を重視して設計されています。耐用年数の面では、2〜3年程度で故障したとしても大きな問題になることはないでしょう。エンタープライズ向けSSDは冗長性を備えたスケーラブルなシステム向けに設計されており、その多くはRAID構成に組み込まれます。一般的なエッジ環境での使用を考えた場合、これらのSSDはサイズが大きく、熱の発生も避けられないので、冷却装置の無い密閉されたエッジシステムには適していません。

 さらに、エッジシステムが自律的に制御されている場合、ストレージの故障はシステム全体の停止につながります。しかも、多くの場合、簡単なメンテナンスやSSDの交換ができません。エッジシステムのストレージは、熱や電圧変動、振動が発生する環境下でも高信頼性での動作が求められます。以下に、エッジ環境におけるSSD選びの重要ポイントをリストアップします。

  • ファンレスシステムに適した電力と熱特性
  • 広範な温度範囲での信頼性と寿命
  • 突然の電源断に対する保護(電源喪失保護)
  • 長期間使用後も安定した性能
  • 柔軟なフォームファクタ(BGA、M.2、着脱可能なソリューション)
  • 長期安定供給
  • 技術サポート(構成の柔軟性、ファームウェア調整、長期メンテナンス)

NVMeとPCIe:エッジシステムに適した柔軟性とパフォーマンス

 NVMeは高帯域幅と高速データ転送速度といった特徴からゲーミングやデータセンター分野で広く用いられています。エッジ環境においてもその重要性が増していますが、重視されるポイントは帯域幅ではなく互換性、エネルギー効率、そして将来性です。

 NVMeはSATAに最適化されたAHCIと異なり、最大6万4000のキューと各キューで最大6万4000コマンドを並行処理可能な通信プロトコルです。これによって、高いパフォーマンスを発揮するだけでなく、一貫した低レイテンシを実現できるので、エッジシステムで一般的なリアルタイム解析に適しています。また、NVMeの標準化によって、BGA(基板実装)、M.2(交換可能)、E1.S(ホットスワップ可能)といった多様なフォームファクタで実装できます。

 スイスビットでも各種フォームファクタの製品を取り扱っています。

BGAタイプ:BGA(パッケージ面積3.2cm<sup>2</sup>)でPCIe Gen3に対応したスイスビットの「E2000シリーズ」 BGAタイプ:BGA(パッケージ面積3.2cm2)でPCIe Gen3に対応したスイスビットの「E2000シリーズ」[クリックで拡大] 出所:スイスビットジャパン
M.2タイプ:M.2(2280)フォームファクタでPCIe Gen4に対応したスイスビットの「A1200」 M.2タイプ:M.2(2280)フォームファクタでPCIe Gen4に対応したスイスビットの「A1200」[クリックで拡大] 出所:スイスビットジャパン
E1.Sタイプ:E1.S(9.5mm)フォームファクタでPCIe Gen5に対応したスイスビットの「D2200シリーズ」 E1.Sタイプ:E1.S(9.5mm)フォームファクタでPCIe Gen5に対応したスイスビットの「D2200シリーズ」[クリックで拡大] 出所:スイスビットジャパン

 さらに、NVMeのファームウェアは電力管理や熱管理に関する多くのカスタマイズが可能です。

NVMeはSATAを大幅に上回るキュー深度(Queue Depth、キューに保持できるコマンドの最大数)と並列処理能力を提供することでI/O処理が最適化され、データ集約型でレイテンシに敏感なエッジアプリケーションにおいて明確な優位性を発揮します NVMeはSATAを大幅に上回るキュー深度(Queue Depth、キューに保持できるコマンドの最大数)と並列処理能力を提供することでI/O処理が最適化され、データ集約型でレイテンシに敏感なエッジアプリケーションにおいて明確な優位性を発揮します[クリックで拡大] 出所:スイスビットジャパン

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