今回はEMIの規格と測定について説明します。
本連載はリョーサンが運営するマガジンサイト「リョーサンテクラボ」に掲載された記事を転載しています。本記事は2023年7月18日に公開されたものです。
今回はEMIの規格と測定について説明します。
前回の記事に「電磁波」というワードが出てきました。電磁波を発するものとしては、屋外では電信柱や鉄塔・変電所、屋内ではテレビ・冷蔵庫・電子レンジ・パソコン・携帯電話などの電化製品が挙げられます。「電磁波」は、目には見えませんが、普段の生活で日常的に触れている存在なのです。
この電磁波とは、電界と磁界が伝わる波のことを指します。回路設計においては、磁界・電界は信号線だけでなく、電源や回路の基準となるGNDからも発生します。この項では、この電界と磁界、電磁界、そして電磁波について説明します。
(1)電界とは
電界は、空間に電圧がかかると発生しますので、電気信号が伝搬される配線にも電界は発生します。
(2)磁界とは
フランスの物理学者アンペールさんが発見した右ネジの法則のとおり、磁界は、電流が流れている物(コイルや基板配線など)の回りに、右向きに円を描くように発生します。
(3)電磁界とは
電磁界とは、電荷や電流によって生成される電界と磁界の組み合わせで形成される場を指します。配線に電圧がかかることで電界が生じ、負荷の接続により電流が流れ磁界が生じるので、総じて「電磁界が生じる」と言えます。
(4)電磁波とは
電磁波は、電界と磁界の相互作用によって生じるエネルギーが伝播する波のことです。この電磁波は空間を伝わり、エネルギーを運びます。
差動信号(差動伝送)とは、2本の信号線(D+、D-)で1つの信号を伝送する方式です。D+とD-にはそれぞれ逆向きの電流が流れることで、対向した磁界が発生して互いに打ち消し合うため、ノイズが発生しにくくなります。更に、差動信号の1本は正位相(正相)、もう1本には逆位相(逆相)の信号が出力されますが、逆位相の信号は受信端で反転して加算されるため、両信号に入った外部ノイズは打ち消され、伝搬先にノイズが伝わりにくくなるメリットもあります。
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