今回は「EMI(電磁妨害)」を取り上げます。EMIの定義から、EMIが与える影響、EMIで使われる単位といった基礎知識をお伝えします。
本連載はリョーサンが運営するマガジンサイト「リョーサンテクラボ」に掲載された記事を転載しています。本記事は2023年7月11日に公開されたものです。
EMIとは、電子機器から発生する電磁波が他の電子機器に妨害を及ぼす現象です。
この現象には、機器そのものがノイズ源となって他の機器に影響を与える可能性と、周囲の電子機器によって発生されたノイズの影響を受ける可能性の2つがあります。
EMIと合わせてよく出る言葉としてEMSとEMCがあります。似ている用語ですが意味が全く異なりますので、混同しないように以下にまとめておきます。
| 略称 | 用語と意味 | 解説 |
|---|---|---|
| EMI | Electromagnetic Interference 電磁妨害 |
導体を伝搬するノイズや電磁波ノイズによる妨害を指すが、機器から出力されるノイズ全般を意味する事が多い |
| EMS | Electromagnetic Susceptibility 電磁感受性 |
導体を伝搬するノイズや静電気を含む、外来の電磁波や電気的ストレスに対する耐性(ノイズを受ける側の耐性) |
| EMC | Electromagnetic Compatibility 電磁両立性 |
ノイズを出すEMIと、ノイズを受けるEMSの総称(ノイズによる妨害とノイズを受ける側の耐性の総称) |
EMIが問題となるケースは、主に下記の3点に分類出来ます。
【(1)EMI規格に適合出来ないケース】
機器が放射 or 導体を伝搬するノイズの上限は、CISPRやVCCI、FCC等の規格団体で定められたEMI規格に適合していないと、製品として出荷出来ません。
【(2)妨害電磁波による影響があるケース】
EMI規格には適合出来ていますが、妨害電磁波が他機器に影響を与えてしまうケースです。
【(3)導体伝搬ノイズによる影響があるケース】
EMI規格には適合出来ていますが、導体(電源、GND、信号ライン等)を伝搬するノイズが他機器に影響を与えてしまうケースです。
上記の(2)と(3)は別の機器間の干渉だけではなく、EMI自家中毒とも表現するように、単一機器内でも発生します。
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