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3種のDC/DCコンバーターのまとめ(2)ダイオードの選定&Mode IIについてたった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計(23)(3/4 ページ)

» 2025年11月26日 11時00分 公開

2.Mode IIの境界電流

 ここで使用する記号と定義は前回と同じく次の通りです。

   tc:キャパシター充電時間   ton:コンバーター・オン時間   toff: コンバーター・オフ時間
   δ:tonの時比率        1-δ:toffの時比率        f:コンバーター動作周波数
   IL:チョーク電流       ILP:チョーク電流の最大値    ΔIp:チョーク電流変化幅
   L:チョークのインダクタンス値   Vo:出力電圧        Vcc:入力電圧
   Io:出力電流(DC)     Io1:Mode I、Mode IIの境界電流  Io2:不連続臨界電流

 Mode IIはオンーオフ型DC/DCコンバーターがチョーク電流連続、かつtc<toffで動作するモードです。このモードはtoff期間中にチョーク電流ILが直線的に減少することに起因し、toff終了時にチョーク電流ILが負荷電流Ioを下回ると平滑キャパシターCへの充電ができなくなるモードを生じます。ですからキャパシターCへの充電がton期間中に行われる降圧型コンバーターには原理的にこのモードが存在しません。

 Mode IIにおける各特性値を表2に示します。表2のリップル電圧の式に現れる昇圧型の(Vo−Vcc)の項はtoff期間にチョークに誘起される電圧そのものであり、反転型では出力電圧Vo相当します。両者の式は形が異なりますが基本的に同じことを表しています。

注)Mode IIに対して、多くの資料に記載されている通常の動作モードを本資料ではMode Iと称しています。

表2 表2:Mode IIにおける各種特性値[クリックで拡大]

①項のモード II境界電流Io1と④項の不連続モード臨界電流Io2の比を採ると3式のようにδのみに左右される一定の比率であることが分かります。

式3

 このように両者の間には密接な関係があり、不連続臨界電流Io2が決まればMode II境界電流Io1が自動的に決まります。しかし、実際の設計に当たって設計者が意識して設定するのは多くの場合、不連続臨界電流Io2です。ここで取り上げたMode II境界電流Io1を意識して設定することは少ないでしょう。
 コンバーター自身の周波数特性(過渡応答特性)も電流不連続モードを境に特性が変わるのでこの面からもMode IIの存在を考慮に入れる必要は少ないと言えます。

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