状態平均化法などの数学的解析では伝達関数に(1−s)のゼロ特性が現れるので予測できますがここでは最初にエネルギー伝送の様子を図式解法で検討します。
図2は昇圧コンバーターのチョーク電流の波形です。この図は負荷電流変動などでデユーティーδがdδ(あるいはdt)増加した場合のエネルギーの伝達の様子を表しています。
図2を見るとdS1は現在の負荷電流Ioの影響を受けるのに対してdS2は(1−δ)の影響しか受けないことが分ります。
実際に面積を比較するために表2にしたがって微小面積dS1(黒斜線部面積)とdS2(赤斜線部面積)の面積を計算してみます。両者を比較してdS1よりdS2が大きければδが増大した効果として出力側へ伝達されるエネルギーが増大しますので矛盾は生じません。
注)インダクタンスを使用するのでδをオン時間tonと周波数fに、dδをdtに置き換えます。またIo'は負荷電流Ioをチョーク電流に換算した平均値(昇圧型ではIo'=Io/(1−δ))です。
dS1(黒:減少分)とdS2(赤:増加分)を比較してdS2の方が広い時は出力電圧は増加していくので表2で得られた2つの式からdS1<dS2になる条件を求めます。この条件が1つの目安になります。
Vo×(1−δ)=Vを上式に代入して解きます。
1式においてδ→大とすると第1項は小さくなります。このことを踏まえて判断すると、V→小、δ→大、L→大、f→大、Io'→大となる条件で1式が負になりやすくなるのでtoff期間の減少による伝達エネルギーの減少が過渡的に発生し、過渡的にせよ意図した制御から外れることが分ります。
忘れてはいけないことは上記説明は過渡的な現象についてのみという点です。定常的な昇圧動作については理論通りδの変化に対応した値に落ち着いていきます。
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