ON/OFFコンバーターの制御不安定問題(1)エネルギーの出入りを図式で理解する:たった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計(27)(3/3 ページ)
表3に時間変化Δtを同一として各パラメーターの影響を図として比較してみます。
- 表3(a)では黒斜線部が負荷電流の影響で高さが変わっているのに比べて赤斜線部はほぼ同一面積です。
- 表3(b)ではLの増加に伴ってΔI1、ΔI2が小さくなり、結果として黒斜線部が変わらないのに比べて赤斜線部が小さくなっています。
- 表3(c)ではδを変化させると出力電圧が変わってしまうため入力変動でδを変えています。入力電圧の低下(=ピーク電流増加)に伴って黒斜線部が増加しています。
3つのケースともに右側の条件2において赤斜線部面積が黒斜線部に対して相対的に小さくなっていることが確認できます。
注)1式はdtの2次項を省略した近似式です。誤差が含まれていることに注意ください。
表3:各パラメーターの影響の図式解法[クリックで拡大]
今回はON/OFF型コンバーターが持つ潜在的な不安定要素について説明しました。この現象は既に状態平均化法と呼ばれる数学手法で説明されていますが、今回はより理解しやすくするためにエネルギーの出入りを図式解法で説明しました。
次回はこの図式解法の結果をシミュレーションで確認してみたいと思います。
加藤 博二(かとう ひろじ)
1951年生まれ。1972年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、電子部品の市場品質担当を経た後、電源装置の開発・設計業務を担当。1979年からSPICEを独力で習得し、後日その経験を生かして、SPICE、有限要素法、熱流体解析ツールなどの数値解析ツールを活用した電源装置の設計手法の開発・導入に従事した。現在は、CAEコンサルタントSifoenのプロジェクト代表として、NPO法人「CAE懇話会」の解析塾のSPICEコースを担当するとともに、Webサイト「Sifoen」において、在職中の経験を基に、電子部品の構造とその使用方法、SPICE用モデルのモデリング手法、電源装置の設計手法、熱設計入門、有限要素法のキーポイントなどを、“分かって設計する”シリーズとして公開している。
⇒【連載「たった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計」バックナンバー】
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