1_2. モーターの出力や損失
次は出力特性について説明します。この情報はモーターの初期検討時や最終評価時に必要で、初期検討では目的の製品に必要なトルクと回転数を基にモーターを選定し、評価時には指定した回転数と実際のトルクを比較し確認するために使用します。トルク測定にはパワーメーターを使用し、特性表との一致を確認します。
また、製品に必要なトルクと回転数からモーターの出力(W)を「トルク(Nm)×2π×回転数÷60」で求めることが可能です。例えば、トルク100Nmで回転数200rpmの場合、「100×2π×200÷60=約2094W」となります。
トルクとは、回転軸周りの力(モーメント)を意味し、モーターの回転力そのものです。また、回転数はrpmだけでなく、ラジアン毎秒(rad/s)で表すこともあります。
モーター選定では、モーターの効率も重要な指標になります。モーターの効率とは、入力電力に対する出力の割合のことを指します。理想は効率が100%になることですが、実際には電気抵抗や摩擦のため、一部の電力は熱に変換され、捨てられます。損失とは、この熱のことを指します。
これらの関係性から損失(W)は「入力電力ー出力」、効率(%)は「(出力÷入力電力)×100」で算出できます。下図では、入力が100Wで出力時に90Wとなっており、10Wの損失が発生しているため、モーターの効率は90%になります。
モーターの損失には銅損や鉄損、機械損など、複数の要因がありますが、効率の低いモーターは運用コストが大きくなることはもちろん、発熱量が大きく対策のためにモーター自体が大型になることも多いです。
先程までの説明で、モーターの構造や基礎についてはある程度理解して頂けたかと思います。ここでは、例としてブラシレスDCモーターの制御方法について解説します。
2_1. 駆動回路について
ブラシレスDCモーターでは、回転速度は印加電圧、負荷トルクの関係で決まり、モーターに与える電圧を変えることで回転速度を制御できます。下記に基本的なモーターのブロックを記載しています。
一般的な説明として、位置センサーの情報からモーター位置を検出し、速度検出器にて速度を検出します。その後、速度指令値と検出値を速度制御器で比較して、電流指令値を出力します。次に抵抗を介して検出した電流値と電流指令値を比較して電圧指令を駆動回路に出力します。この駆動回路は「インバーター」と呼ばれており、ここで電圧や電流を調節し、モーターに出力することで速度制御を行います。
2_2. マイコンから制御する方法
今回はマイコン(MCU)を使ってベクトル制御でモーターを回転させますので、MCUで制御する方法について説明させて頂きます。まず、モーター制御に必要なMCUの機能ですが、時間測定用にインターバルタイマー機能、インバーターへの3相パルス幅変調(PWM)タイマー出力、位置センサー測定用にタイマー入力、電流や温度測定用にA-Dコンバーターが必要になります。
他にも上位インタフェースからの指令でモーターを制御するために、CANやUARTなどの通信機能が必要になります。また必須ではないのですが、近年ではセキュリティ要求も増えてきており、マイコンにセキュリティ機能が内蔵されているかも1つのポイントになります。
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