ハイパスフィルタは、RFおよびマイクロ波の周波数帯域に分散した場合に実現が難しい。表1の仕様を満たすハイパスフィルタの回路、レイアウトの自動合成は、図6のようにハイパスフィルタの素子値を集中定数素子の形式で行う。
集中定数素子の形式で行ったEMによるハイパスフィルタのレイアウトの自動合成により、MIMコンデンサの重複部分の長さが165μm、スパイラル・インダクタの巻き数がそれぞれ4.875回および3.875回であることがわかる。所定の隣接素子間の距離と給電線路の長さを考慮し、すべての素子を自動的に組み立てる。必要な拡張や接続、パッドを加えて、フィルタのレイアウトが完成する(図7)。
特定の用途、またはチップ面積、あるいはその両方を満たすために、最終的に手作業での微調整が必要な場合もあるが、それでもこの手法によるメリットは大きいといえる。図7に対する調整としては、単に配線を延長する代わりに、グラウンドを信号線に近づけることが挙げられる。
商用のEMシミュレータ「IE3D」でフィルタをシミュレーションする(図8)。ハイパス応答と、カットオフ周波数のずれを表示し、設計手法の有効性とツールの高い能力を示す。このずれは、相互接続に起因していると思われる。なぜなら、合成では相互接続の距離をゼロとみなしているからである。
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