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» 2006年07月01日 00時00分 公開

ZigBeeネットワークでワイヤレスセンサーを実現(3/3 ページ)

[Dan Strassberg,EDN]
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難題

 ZigBeeについてよく聞かれるのは、「通信距離はどれくらいか」という質問である。端的に言えば10m〜100mだが、この質問に答えるのはそう簡単ではない。なぜなら、ネットワークの動作周波数が2.4GHzか1GHz未満かということだけでなく、ネットワークに接続されたデバイスが屋内にあるか屋外にあるかでも答えが違うからだ。出力がZigBeeチップでサポートされている0dBmかそれ以上かということも影響する。最大出力は20dBmだが、それにはZigBeeチップ外部の増幅器が必要となる。最も重要な要因は、データがその目的地に到着するまでに何回のホップが行われるかということである。

 2.4GHz帯のデータレートは868MHz帯や915MHz帯よりも高いが、独ZMD社(www.zmd.biz)など1GHz未満の周波数を支持する企業は、低い周波数を使った伝送の方が信頼性は高いと主張する。1GHz未満で干渉波を発生させるユーザーは少なく、信号の吸収と反射の問題も低い周波数ではさほど深刻ではないというのがその理由だ。従って、より低い周波数で動作するデバイスは低電力で動作できることが多い。

図4 ZigBeeにはメッシュ構成が関係していることが多いが、ZigBee仕様にはほかに2つのトポロジがあり、それぞれのトポロジで使用できるZigBee機能が規定されている。ZigBeeでは、メッセージが目的地に到着するまでに複数回ホッピングし得ることに注意する必要がある(ZigBeeアライアンス提供)。 図4 ZigBeeにはメッシュ構成が関係していることが多いが、ZigBee仕様にはほかに2つのトポロジがあり、それぞれのトポロジで使用できるZigBee機能が規定されている。ZigBeeでは、メッセージが目的地に到着するまでに複数回ホッピングし得ることに注意する必要がある(ZigBeeアライアンス提供)。 

 ZigBee NWK(ネットワーク層)では、「スター」、「ツリー」、「メッシュ」の3つのネットワーク構成がサポートされている(図4)。ネットワークデバイスは他のネットワークデバイスからのメッセージを中継できる。スター構成では、ZigBeeコーディネータがネットワークを制御する。このコーディネータがネットワークデバイスを始動させ、他のすべてのデバイスはコーディネータと直接通信するエンドデバイスとなる。メッシュ構成とツリー構成では、コーディネータがネットワークを始動させて特定の主要ネットワークパラメータを選択する。ネットワークはZigBeeルーターによって拡張できる。ツリーネットワークでは、ルーターが階層ルーティング方式によってネットワークを介してデータを移動し、メッセージを制御する。ツリーネットワークではビーコン方式の通信を利用できる。メッシュネットワークでは完全なピアツーピア方式の通信が可能となる。

 棚卸しの時に資産を追跡するという用途では、よく言われるRFID(無線ICタグ)技術よりもZigBeeの方が有用かもしれない。RFIDタグは受動的で、RF信号からの問い合わせ信号に応答するためにエネルギーを消費する。問題は、問い合わせ信号を送信するデバイスが、それに応答するRFIDタグから約3m以内に存在しなくてはならないということだ。例えば、大きな研究開発施設や製造工場などで試験装置の場所を決めようとしても、探そうとするものの場所が分かっていなくてはならないようでは意味がない。しかしZigBeeネットワークならば、広大なキャンパスの中でも装置の場所を追跡できる。各装置にはRFIDタグよりも高価なZigBeeプラットフォームが必要になるが、棚卸しや装置を探し回るのにかかる人件費を考えれば、1年以内にZigBeeプラットフォームにかかるコストを回収できる。

ウサギとカメ

 産業分野へのZigBeeの導入は遅れているものの、ウサギとカメの話のように、この技術は競合技術に勝てそうだ。ただし、ゆっくりと着実に。例えば、多くの産業用途に求められる「ファイブ・ナイン(99.999%)」の稼働率を実証できるまでにはまだ時間がかかると思われる。その主な理由は、開発者の意図どおりにユーザーが適用した場合のプロトコルのスピードが遅いからだ。トランザクションベースの用途では、ZigBeeの速度は1秒当たり、1分当たり、1時間当たり、あるいは1カ月当たりのトランザクション数では測定されない。さらに、実際の用途の信頼性を予測するには、統計と確率に頼らなくてはならない。そのため、1カ月に1回のエラーも発生しないという高い信頼性を実証するには数カ月かかる可能性がある。テスト関係者の中には、ビットエラー率やフレームエラー率に基づく検証方法はZigBeeには不適切で、EVM(エラーベクトルの大きさ)に基づく試験の方がより早く正確な結果を出せるという考えも出ている。

 ただし、ZigBee技術が最初から暖かく業界に迎え入れられたことがアライアンスのメンバーを今も勇気付けている。ZigBeeの仕様書が公開された最初の1年でダウンロードされた件数は1万8000件を超えた。

 ZigBeeの潜在ユーザーは、ZigBeeデバイスがバッテリで動くということを懸念する。開発ツールのサプライヤがZigBeeスタックに組み込むために提供しているものの一つにZigBeeチップがある。このチップは、バッテリの充電状態を測定して、バッテリ交換が必要になる直前に警告メッセージを伝える。しかし、たとえZigBeeセンサーが適切な場所に置かれていてもそれを探すのにかなりの労力を必要とするなら、ユーザーはバッテリが壊れて高価な修理費用のかかるようになるまでバッテリの交換を先延ばしにするだろう。

 バッテリ寿命を延ばしたり、バッテリを使わずに済む方法もある。センサーをもっと賢くするなら、つまり電力をそれほど消費することなく、リモートシステムを使わなくてもデータに関係する決定を独自に行えるようにできるのなら、センサーはあまり通信する必要がなく、通信にかかる消費電力を節約できる。しかし、そのようなスマートセンサーは回路設計が難しいだけでなく、ソフトウエア設計もかなり難しい*3)

 もう一つの手として、さまざまな手法を使って環境から少量のエネルギーを集める「エネルギーの寄せ集め」というアプローチがある*4)。例えば、常に照明がついている工場やオフィスでは、太陽電池でZigBeeデバイスを駆動できる。ZigBee対応の照明スイッチは、トグル動作から電力を集め、それを大容量キャパシタに蓄積できるかもしれない(交流電源を必要としない照明スイッチならば可能である。配線にかかるコストを節約できるだけでなく、オフィスレイアウトの変更も簡単になる)。メーカーは、モーターやオフィス機器に電力を供給する配線周りの寄生交流磁場から電力を集めることがおそらくできる。また生産機械の振動から電力を集めることもできるだろう。

脚注

※3…National Instruments, white paper, The real issue limiting wireless-sensor networks, 2006, http://digital.ni.com/express.nsf/bycode/sensors.

※4…Conner, Margery, メEnergy harvesters extract power from light, vibrations,モ EDN, Oct 27, 2005, pg 45, www.edn.com/article/CA6275407.


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