オペアンプの設計では、用途に応じてさまざまな特性を実現しなければならない。しかし、何を目標とするかにかかわらず、共通に留意すべき事柄もいくつかある。本稿では、そうしたポイントをピックアップし、設計を進める上で指針となる「考え方」を提示する。
オペアンプは、電子回路のありとあらゆるところに使われている基本回路ブロックである。その電子回路がボードレベルのものであっても集積回路であっても、このことは等しく当てはまる。
電子部品としてのオペアンプを見ると、十数年以上も前に設計されたIC製品がいまだに健在だ。しかしながら、その間にプロセス技術が大きく進化したこともあり、以前とは異なる状況が生まれてきた。例えば、製造プロセスの特徴を生かしたオペアンプ製品がリリースされたり、多様化する顧客のニーズに対応した新製品が開発されたり、あるいはより複雑かつ最適化されたアナログICやデジタル/アナログ混載LSIが求められるようになったりしたことが挙げられる。このような状況にあることから、基本的な回路であるオペアンプの設計手法について再び目を向けてみることにも意味があると筆者は考える。
具体例を挙げると、動作電源電圧が200Vのモノリシックオペアンプ *1)や低ノイズ/低歪(ひずみ)のオペアンプ*2)製品が世に出てきている。そうした製品は製造プロセスの特質から恩恵を得たものには違いない。しかし、製造プロセスが変わろうとも、基本的な設計原理は変わっていない。言い換えれば、設計上留意すべき点は今も昔も同じなのだ。
昨今では、アナログ回路をじっくりと眺める機会も少なくなってきた。そのため、以前は常識であったことですら、今では忘れがちになる傾向にある。本稿では、改めて、そうした事柄の一部を見つめ直してみたい。
オペアンプの設計においてまず重要なのは、何を目指すのかということである。オペアンプに要求される性能としては、高利得、高速、低ノイズ、低オフセット、低歪、高出力、低入力電流、低消費電力、低動作電圧(または高動作電圧)といったことが挙げられる。このように、実にさまざまなパラメータがあるが、これらを同時に達成することはできない。従って、用途に応じて設計の目標を定めなければならない。
さらにいえば、どのようなパラメータの実現が目標になるとしても、オペアンプの設計においては共通に留意すべきことがある。本稿では、そうした留意点として、以下の4つを取り上げることにする。
組み込みソフトウエアの開発作業にかかる工数を、コンピュータ支援によって削減しようというアイデアは悪くない。しかし、コードジェネレータに入力するシステム仕様を設計者が定義する作業は簡単ではない。現状の開発ツールでは、コードの自動生成に必要なデータを準備するまでに、設計者はかなりの学習期間を必要とし、プログラミングに対する考え方を完全に変えなければならない場合もあり得る。また、ソフトウエア開発者は組み込みソフトウエアに対する偏見を捨てて、従来とは異なる開発手法を受け入れるという心構えを持たなければならないかもしれない。
コードの自動生成に対して、多くの設計者は疑念を持っている。それまでの製品開発における経験から、コードジェネレータを利用すると、誤りを含んだコードや処理効率の悪いコードが生成されると思い込んでいるのだ。しかし最近のツールベンダーは、自分たちが提供するコードジェネレータについて、「仕様に合致した誤りのないコードを生成し、しかも手作業で作成したコードよりもコンパクトである」と主張する。
コードの自動生成は、モデルベースの設計手法における一要素である。コードの自動生成機能を利用する場合、設計者は従来のような仕様書を記述する代わりに、形式的なグラフィカル表現を用いてシステムを定義することになる。その際、作成するモデルは、開発しようとするシステムの機能や動作を明確に定義するものでなければならない。
一般に、システムモデリングに対応したソフトウエアの多くは、ユーザーが、ライブラリとして事前に準備されたブロックをGUI操作によって組み合わせることによってシステムを定義できるようになっている。それにより、モデルの作成にかかる作業負荷を軽減することが可能になる。しかし、優れたモデルを記述できるようになるためには、新しいプログラミング言語を習得するのと同程度の努力と訓練が必要である。
※1…LM4702 Data Sheet September 2006, National Semiconductor .
※2…LM4562, LME49710, LME49740 Data Sheet 2006, 2007, National Semiconductor
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