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1.2Vの電源で動作する白色LEDドライバDesign Ideas

» 2007年12月01日 00時00分 公開
[Dave Wuchinich,EDN]

 多くのLEDドライバでは、チャージポンプとインダクタが使用される。それにより、1セルまたは2セル構成のNiMH(ニッケルメタルハライド)電池からの1.2Vまたは2.4Vの電圧を白色LEDの駆動に必要な3.6Vに昇圧することができる。しかし、そうしたドライバ(例えば米Maxim Integrated Products社の「MAX1595」)が正常に動作するには入力電圧として約2.5V以上が必要である。MAX1595についていえば入力電圧が2.4Vでも動作するが、十分な出力を得ようとすれば、入力電圧を3.0V以上としなければならない。また、電池電圧があるレベルまで低下すると、出力が不安定になるという問題もある。本稿では、これらの問題を改善する回路を紹介する。

 図1の回路ではトランジスタQ1、Q2で構成したフリップフロップがインダクタに電流を供給してコンデンサを充電することにより昇圧を行う(これに関しては、白熱電球を安全灯として点滅させるためにフリップフロップを利用する方法が米国特許4,068,149として公開されている*1))。

図1 1.2Vの入力電圧で動作可能な白色LED用ドライバ回路 図1 1.2Vの入力電圧で動作可能な白色LED用ドライバ回路 この回路ではトランジスタQ1とQ2がフリップフロップを構成し、60kHzの周波数で動作する。この回路により、電池からの入力電圧が1.2Vまで低下しても白色LEDを駆動できる。

 図1の回路が起動する際には、抵抗R1を経由してトランジスタQ1およびQ2にベース電流が流れる。それによって、まずQ2がオンになり、次いでQ1がオンになってそれぞれ直ちに飽和状態に入る。ここでコンデンサC1が抵抗R2を経由して充電され、その電圧がVDD−VBEQ1−VCEQ2になると、Q1がオフになり、続いてQ2もオフになる。ここでVDDは電池電圧、VBEQ1はQ1のベース‐エミッタ間電圧、VCEQ2はQ2のコレクタ‐エミッタ間飽和電圧である。オンになる期間は時定数R2C1によって決まり、オフになる期間は(R1+R2)C2によって決まる。コンデンサC2はQ2がオフの期間にインダクタL1から流れる電流を平滑化し、白色LEDであるD2に安定化した電圧を供給する。このときの出力電圧は電池電圧に比例する。

 回路定数を図1の通りとし、L1として米Coilcraft社の「MSS7341-104MLB」を使用した場合、動作周波数は60kHzとなった。NiMH電池(2セル構成)からの入力電圧が2.36Vの場合、LEDには約20mAの電流を供給できた。

 また、2個のLEDを同時に駆動するテストも行った。このテストでは各LEDに対し、図1の抵抗R3に相当する電流制限抵抗を使用した。このとき、前記の電池電圧条件において80%の効率が得られることを確認した。電池電圧が約1Vに低下しても出力電圧は安定で、出力電流は低下するが、LEDの輝度は十分なレベルを維持できた。


脚注

※1…Wuchinich, David G, “Flasher circuit with low power drain,” US Patent 4,068,149, Oct 28, 1975.


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