ルネサス テクノロジは2008年11月、自動車の運転支援システム制御に向けたフラッシュメモリー内蔵の32ビットマイコン「SH74504」と「SH74513」を開発したと発表した。2009年2月よりサンプル出荷を始める。
新製品は、CPUコアとして動作周波数が240MHzの「SH-4A」を搭載した。SH-4Aは、複数の命令を並列に処理するスーパースカラー方式の採用や、内部バスをアドレスバスとデータバスに分離することなどによって、432MIPS(1MIPSは1秒間に100万回の命令を処理する能力)の処理性能を実現した。これは、CPUコアに「M32R」を採用している従来の32ビットマイコン「M32192」に比べて約2.6倍の処理性能である。
また、2製品とも最大240MHzで動作する浮動小数点演算器(FPU)を内蔵している。このFPUは、単精度および倍精度の演算に対応しており、演算性能は単精度で最大1.68GFLOPSを実現している。さらに、ベクトル演算やサイン/コサイン演算用の回路もハードウエアで組み込んだ。
内蔵するメモリー容量も増やしている。フラッシュメモリーは従来品のM 32192が最大1Mバイトであるのに対して、SH74504は2Mバイト、SH74513は1.5Mバイトを内蔵するなど、プログラムの大規模化に対応した。また、SRAMはM32192の最大176Kバイトから512Kバイトに増やしている。これにより、障害検知などを行うミリ波レーダーや車載カメラなどから、より多くのデータを取り込んで高速に処理することが可能となる。
車載ネットワークとしては、CAN(Con-troller Area Network)コントローラを5チャンネル分搭載した。それに加えて、SH74504はFlexRayコントローラも2チャンネル分内蔵している。
新製品の消費電力は240MHz動作時で1.5Wと少ない。動作温度範囲は?40?125℃と広く、高温環境での使用に対応することを特徴とする。しかも、パッケージは外形寸法が17mm×17mmの292端子BGAを採用しており、M32192に比べ実装面積を約30%削減することができるという。
これ以外にも、運転支援システムに必要とされる機能を内蔵している点に特徴がある。例えば、車載カメラからの映像データを、最大40メガバイト/秒の伝送速度で、CPUコアを介さずにマイコン内部のSRAMに直接取り込むことができるDRI(Direct RAM Input)インターフェース機能をはじめ、ミリ波レーダーシステムに必要とされるPDAC(Parallel DAC Controller)回路やPSEL(Parallel Selector)回路、タイマーユニットなどを内蔵している。
サンプル価格はSH74504が1万5000円、SH74513が1万4000円。なお、SH74504を搭載した評価キットは開発中で、2009年2月以降に出荷する予定である。
(馬本 隆綱)
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