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複数LEDの低電圧駆動に用いるカレントミラーDesign Ideas

» 2009年04月01日 00時00分 公開
[Rex Niven(オーストラリアForty Trout Electronics社),EDN]

図1 複数のLEDを低電圧で駆動するためのカレントミラー回路 図1 複数のLEDを低電圧で駆動するためのカレントミラー回路 

低い電源電圧を使用して定電流でLEDを駆動するために、カレントミラー回路を使用する方法がある。その場合、回路全体が正しく機能するには、カレントミラー回路を構成する複数のトランジスタに関して、ある制約を満たす必要がある。それは、各トランジスタの特性に差がなく、それぞれの温度が同一になるようにすることである。これを実現する方法の1つは、1チップに集積された複数のトランジスタを使うことだ。ただし、複数のトランジスタを集積するICでは、通常、100mAといった大きな出力電流を得ることはできない。

 一方、ディスクリートのトランジスタを複数用いれば、大きな出力電流を得ることができる。しかし、その場合、条件によってはトランジスタが熱暴走を起こす可能性がある。仮に、1個のトランジスタの温度がほかのトランジスタより少しだけ高くなったとする。すると、そのトランジスタのみ電流増幅率が高くなり、電流値が増大する。それに伴って温度の上昇が引き起こされ、ついにはトランジスタの破損に至ることになる。本稿では、この問題を回避することが可能なカレントミラー方式の回路を紹介する。

 図1では、ベースとエミッタがそれぞれ共通に接続されたトランジスタQ4〜Q7によってカレントミラー回路を構成している。そして、トランジスタQ3のコレクタ電流が同回路の制御に用いられる。トランジスタQ1とQ2は差動増幅回路を構成しており、Q3のコレクタ電流を抵抗R3によって変換したフィードバック電圧がQ2のベースへ入力される。この状態では、Q1とQ2のベースはほぼ同じ電圧になる。従ってQ3のコレクタ電流は1.2〔V〕/R3となり、これと同等の電流がカレントミラー回路によって各LEDに流れる。

 この例では、駆動パルスとして周波数3Hz、デューティ比25%の信号を用いることを想定している。この条件であれば、トランジスタがオンしても、その温度は安定状態まで到達せず、オフの周期に周囲温度近くまで低下する。従って、熱暴走に至ることはない。なお、コンデンサC1は、Q1とQ2がオン/オフに切り替わる際の過渡的な発振を防ぐためのものである。

 Q4〜Q7としては、同一の種類のものを使用する。加えて、それらすべてをプリント基板上の1つの領域にまとめて実装する必要がある。電源電圧VCCは、赤外LEDなどでは2.5Vまで下げることができる。駆動電流は、LED1個当たり100mA以上が得られる。

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