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PCIe/USBへの対応で使われ続けるPC/104(3/3 ページ)

» 2009年07月01日 00時00分 公開
[Warren Webb,EDN]
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PCIeへのアプローチ

 2007年9月に結成されたSFF SIG(Small Form Factor Special Interest Group)も、2008年初頭にExpress104 PC/104という規格を策定した。

 同規格に準拠するボードは、新しく開発された52端子のSUMIT(Stackable Unified Module Interconnect Technology)コネクタを1つ、もしくは2つ搭載する。

 1つ目のSUMITコネクタは、PCIeの1レーンのリンク×1、USB 2.0×4、LPC(Low Pin Count)バス×1、デュアルSPI(Serial Peripheral Interface)×1、SMBus(System Management Bus)×1、ExpressCard×1のインターフェースを提供する。オプションとなる2つ目のSUMITコネクタにより、PCIeの1レーンのリンク×1と、1レーンのリンク×4もしくは4レーンのリンク×1を追加できるようになる。

 Express104 PC/104の規格は、既存のPC/104ボードとの互換性を維持するためのPCIとISAとのブリッジチップを含むオプション構成もサポートしている。ただし、いくつかのメーカーが関心を示してはいるものの、2008年末の時点でExpress104 PC/104に対応したモジュールを正式に発表したメーカーはまだない。

USBの活用

図1 Micro/sys社の「SBC1626」の構成 図1 Micro/sys社の「SBC1626」の構成 SBC1626は、PC/104のフォームファクタのボード上に、ARMアーキテクチャベースの米Marvell Technology Group社製高速プロセッサ「XScale」、メモリー、StackableUSBのI/Oを搭載している。

米Micro/sys社は、通信プロトコルを改善するための異なる手法として、PC/104のフォームファクタをベースとした新しいスタック可能なアーキテクチャ「StackableUSB」を開発した。

 StackableUSBは、PC/104の省サイズでスタック可能という長所を変えずに、接続バスにUSBを採用している。また、最大16個の周辺機器との接続をサポートする。USBのプラグアンドプレイ機能も搭載し、スタックスルーコネクタを内蔵することにより接続ケーブルを不要としている。

 Micro/sys社のネットワークコントローラボード「SBC1626」は、PC/104のフォームファクタをベースにした製品で、StackableUSBコネクタを利用することにより、7個のUSBポート(ホスト×5、クライアント×2)を備えている(図1)。

 これに加えて、デジタル入出力(I/O)ライン×24、読み取り可能DIPスイッチ×8、表示用LED×8、RS-232ポート×4のインターフェースも備える。64Mバイトのリニアフラッシュメモリーと128MバイトのSDRAMにより、Linuxや「Windows CE」といった高機能のリアルタイムOSを動作させることも可能だ。SBC1626の単価は、450米ドルからである。


 組み込みシステムの設計者は、既存のPC/104に準拠する製品が存在する限り、今後もPC/104を利用し続けるだろう。また、PC/104ベースのボードのメーカーも、自社の設計者が新しいプロセッサと使い古されたISAバスを接続する手段を見つけられるなら、PC/104製品を製造し続けるはずだ。

 しかし、高い処理性能が必要なアプリケーションには、その処理性能に対応する新しい規格が不可欠である。このまま、相互に互換性を持たないPC/104の後継規格が乱立した状態が続けば、PC/104という使い古された規格が利用され続けることになる。組み込みシステム業界は、早々にPC/104の後継規格を選択する必要があるだろう。

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