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555タイマーでLEDドライバを制御Design Ideas

» 2010年02月01日 00時00分 公開
[Michael Day (米Texas Instruments社),EDN]

 LEDは、映像の表示などの高度な用途から、照明などの一般的な用途まで幅広く使用されている。そして、各種用途において専用のLEDドライバを利用する場合には、その制御にプロセッサを用いることが多い。一般的には、アナログ方式あるいはPWM(パルス幅変調)方式などによって、各LEDに流す電流を個別にコントロールするといったことが行われる。また、各LEDの動作の状態や劣化状況などを監視するケースもある。しかし、実際にはドライバICに数多く用意されている機能のうち、一部だけを使用すれば事足りることが多いのも事実だ。さらに言えば、高度な制御機能は、照明などのように定電流駆動が主となる用途では不可欠ではない。そのため、こうしたケースでプロセッサによって制御を行うと、コストの問題が浮上することになる。

図1 555タイマーを利用したLEDドライバの制御回路 図1 555タイマーを利用したLEDドライバの制御回路 LEDドライバを制御するためのパルスを555タイマーから供給する。

 本稿では、照明用途などに適した、LEDドライバの制御手法を紹介する(図1)。この方法では、プロセッサの代わりにタイマーIC「555」で制御を行う。しかも、入力電圧や温度、LEDの順方向電圧の影響を受けることなく、LEDの電流を正確にコントロールできる。

 図1の回路では、専用LEDドライバ(IC2)として「TLC5917」を用いている。同製品は互いに独立な8系統の定電流シンク端子out.gifを備えている。このICを制御するには、通常はプロセッサからの4種のデジタル信号(IC2の4本の端子に入力)が必要になる。まず、oe.gif端子に入力される信号は、IC2のイネーブル/ディセーブルを制御する。SDI端子への入力データは、クロック信号(CLK端子)の立ち上がりエッジで入力シフトレジスタに取り込まれる。シフトレジスタに取り込まれたデータは、制御用のラッチ信号(LE端子)の降下エッジで、各電流シンク端子のオン/オフに使う内部のラッチ(以下、オン/オフ用ラッチ)に取り込まれる。

 IC2では、8系統の電流シンク端子を個別に使用することで、8個のLEDを独立して制御できる。また、8系統の電流シンク端子を並列に接続すれば、電流量を増大して1個の高輝度LEDを制御することが可能になる。図1の回路は、後者の使い方を示している。

 IC2内部の電流設定用レジスタは、起動時にはデフォルトの値となる。この値と外付けの電流設定抵抗R3の値により、LEDの電流値が決まる。図1の回路では、各端子からの出力電流が105mAになるように、R3=18.75V/105mA=178Ωと設定した。図1のように電流シンク端子のすべてを並列接続した場合、約842mAのLED電流が得られる。

 電源投入時には、8個のオン/オフ用ラッチがデフォルト値の0にセットされる。各電流シンク端子をオンにするには、これを1にセットする必要がある。図1の回路では、プロセッサの代わりに555タイマーでこの機能を実現する。具体的には、IC2のCLK端子とLE端子を555タイマーのOUT端子(矩形波出力端子)に接続する。

 先述したように、クロックの各立ち上がりエッジで、SDI端子へのデータがIC2の入力シフトレジスタに取り込まれる。このデータは、ラッチ信号の降下エッジでオン/オフ用ラッチに取り込まれる。このように、外部データの取り込みと内部ラッチへの取り込みはクロックの別エッジで進行するので、CLK端子とLE端子に同じクロック信号を使用することができる。

 oe.gif端子はグラウンドに接続し、IC2を常にイネーブルの状態にしておく。SDI端子を電源に接続すれば、電源投入時にLEDが自動的にオンになる。論理レベルのハイのデータが連続して入力されるので、全電流シンク端子がオンになるということである。これに対し、SDI端子をスイッチやデジタル信号源に接続すれば、LEDのオン/オフ制御が行える。例えばスイッチを使う場合、SDI端子を電源電圧レベルにプルアップすると、ハイが連続して入力されるので全電流シンク端子がオンになる。一方、SDI端子をグラウンドにプルダウンすれば、連続してローが入力されるため、全電流シンク端子がオフになる。

図2 クロックとLED電流の波形 図2 クロックとLED電流の波形 LED電流(いちばん下の波形)は8段階で上昇/下降する。

 LEDのオン/オフのスピードは、555タイマーのクロック周波数によって決まる。LEDの電流は、8個のクロックパルスに対応して0〜100%の範囲で階段状に上昇する。この電流の変化は、SDI端子のデータが、LE端子へのクロックの降下エッジで8個のオン/オフ用ラッチのそれぞれに順次取り込まれるれることに対応して生じる。

 図2は、LEDの電流がラッチ信号の各降下エッジに同期して階段状に増減する様子を示したものである。これは10kHzのクロックを用いた場合の結果だが、オンからオフ、オフからオンへの変化時間は0.8msに過ぎない。これであれば、人間の目は瞬間的な変化を捕捉できず、常に点灯しているように感じる。なお、クロック周波数を下げれば、オン/オフがゆっくりと行われるように変更することができる。例えば、クロック周波数を10Hzにすれば、LEDのオン/オフは0.8sごとに切り替わる。

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