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pチャンネルパワーMOSFETの駆動回路Design Ideas

» 2010年05月01日 00時00分 公開
[Suded Emmanuel,EDN]

 動作電圧が100Vを超えるような回路において、ハイサイド用スイッチとしてpチャンネルMOSFETを使用することができれば、設計の簡素化が可能になる。その場合、MOSFETの駆動による損失を低減するために、ゲート−ソース間容量(入力容量)の充放電を高速化する必要がある。本稿では、この課題に対応可能な回路を紹介する。

 図1に示した回路において、Q7は米International Rectifier社のpチャンネルMOSFET「IRF5305」である。同MOSFETは、ソース−ドレイン間の電圧として55Vを許容できる。緑色の破線で囲った回路部(抵抗R1、R2、トランジスタQ1、Q2、ツェナーダイオードD4、コンデンサC1から成る部分)は、オペアンプIC1Aのグラウンド端子に38V、つまり50Vの電源レールより12V低い電圧を供給する。すなわち、IC1Aは電源電圧が50V、グラウンドが38Vで動作することになる。


図1 pチャンネルMOSFETの駆動回路 図1 pチャンネルMOSFETの駆動回路 電源電圧が50V、グラウンド電圧が38Vで動作するオペアンプIC1AがパワーMOSFETのQ7を駆動する。

 Q7の駆動には、パルス発生源またはPWM(パルス幅変調)信号発生源からのパルス列を使用する。このパルス列の最大周波数は60kHzで、デューティサイクルは可変とする。そして、このパルス列は、赤色の破線で囲った回路部(トランジスタQ4、抵抗R3、R4、R5、ショットキーダイオードD2、ツェナーダイオードD3から成る部分)に入力される。この回路はレベルシフトの機能を持ち、Q4がオンになると、D3両端間の電圧が10Vになる。D3のアノード端子は、IC1Aの非反転入力端子(3番端子)に接続されている。そのため、IC1Aの出力として、Q7のゲートに40V(50Vの電源レールから10V低い電圧)が供給される。これにより、Q7はオンになる。一方、青色の破線で囲った回路部(抵抗R6、R7、R8、R9、R10、トランジスタQ3、Q5、Q6、ショットキーダイオードD1から成る部分)は、D3のアノード電圧を高速で50Vに変化させ、それによりQ7がオフになるよう働く。トランジスタQ5がオフになるとQ6がオンになり、その結果、Q3がオンになる。それに伴ってD3のアノード電圧が急速に50Vになり、バッファアンプIC1Aを介して、この電圧がQ7のゲートに加わる仕組みだ。ショットキーダイオードD1とD2は、それぞれQ5とQ4のオフ作動を高速化するように働く。IC1Aとしては、米ON Semiconductor社のデュアルオペアンプ「MC33072」のうち1素子を使用している。同製品のスルーレートは13V/μsで、10nFの容量負荷を駆動できる。そのため、Q7の高速なスイッチングが行える。具体的には、Q7の出力の立ち上がり/降下時間として、約500nsという性能が得られる。

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