米Micron Technology社は2010年12月、都内で記者発表会を開催し、25nmプロセスを採用したNAND型フラッシュメモリー(以下、NANDフラッシュ)の新製品「ClearNAND」について説明した。
米Micron Technology社は2010年12月、都内で記者発表会を開催し、25nmプロセスを採用したNAND型フラッシュメモリー(以下、NANDフラッシュ)の新製品「ClearNAND」について説明した。
Micron社は、DRAM、NANDフラッシュ、NOR型フラッシュメモリーの開発を手掛けるメーカーである。同社が70nmプロセス技術を用いたNANDフラッシュの量産を開始した時期は、競合他社に比べて1年半ほど遅かった。だが、わずか2年後には、30nmプロセスのNANDフラッシュの量産を他社より1年早く開始している。また、25nmプロセスのNANDフラッシュについても、6カ月〜1年程度先行しているという。
Micron社でストラテジック マーケティング ディレクターを務めるKevin Kilbuck氏は、「NANDフラッシュにおいて、微細化で得られるメリットは大きい。だが、微細化が進めば進むほど、耐久性(書き換え回数)は低下し、ECC(Error Check and Correct)の必要性が増すというデメリットがある」と述べる(写真1)。こうしたデメリットに対応するために同社が開発したのが、ClearNANDである。コントローラと最大8個のNANDフラッシュダイを1パッケージに収めたもので、コントローラがECCなどのエラー制御を実行する点が最大の特徴となっている。
図1は、raw NAND(NANDフラッシュ単体)、eMMC(Embedded MultiMediaCard)、ClearNANDを使ったシステムの概念図である。raw NANDを使った場合は、ECC、ウェアレベリング、ブロック管理、コマンド管理、ドライバといった機能はすべてホストプロセッサが担うことになる。これらのうち、ECCは、NANDフラッシュの製造プロセスをはじめ、SLC(Single Level Cell)なのか、MLC(Multi Level Cell)なのかといったNANDフラッシュの技術に依存して異なる構成となる。そのため、同機能をホストプロセッサに搭載していると、NANDフラッシュの技術に合わせてホストプロセッサを設計し直さなくてはならない。一方、eMMCは、ドライバ以外の機能を搭載しており、これによって、ホストプロセッサの負荷が軽減される。ただし、ブロック管理やウェアレベリングなどはアプリケーションに依存するため、「eMMCだと、場合によっては性能が不足する場合がある」(Kilbuck氏)という。そこで、ClearNANDではNANDフラッシュの技術に依存するECCの機能のみを内蔵コントローラに持たせた。
ClearNANDは、raw NANDと互換性のあるパッケージやインターフェースを使用しているので、raw NANDからの移行も容易に行えるという。また、raw NANDに近い位置付けの「Standard」バージョンと、機能を強化した「Enhanced」バージョンがある。Standard版は容量が8Gバイト〜32Gバイト、Enhanced版は同16Gバイト〜64Gバイトの範囲で製品をラインアップしている。
Kibuck氏は、「現在、ClearNANDのような、ECCを内蔵したNANDフラッシュはほとんど市場にないが、2014年までには市場の半分近くを占めるようになると予想している」と語る。また同氏は、「NANDフラッシュの微細化技術は限界に近付きつつある。当社でも、NANDフラッシュに代わるメモリーとして、3D NANDフラッシュやクロスポイント型メモリーなどの研究開発に力を入れている」と続けた。なお、3D NANDフラッシュは、NANDセルを垂直方向に集積したものであり、クロスポイント型メモリーは、記憶素子を並べた平面アレイを32層や64層に積層したものである。
(村尾 麻悠子)
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