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STマイクロが「Cortex-M0」マイコンを投入、処理性能は他社16ビット品の3倍STマイクロ STM32 F0

STマイクロが新たに発表した「Cortex-M0」マイコンは、8ビット/16ビットマイコンを大幅に上回る処理性能を実現しながらも、価格は同等レベルに抑えた。AV機器やインバータ制御といった用途で、8ビット/16ビットマイコンの置き換えを狙う。

» 2012年03月02日 14時38分 公開
[村尾麻悠子,EDN Japan]

 STマイクロエレクトロニクス(以下、STマイクロ)は2012年3月、ARMの低消費電力プロセッサコア「Cortex-M0」を採用した32ビットマイコン「STM32 F0」シリーズを発表した。同社はこれまでに、「Cortex-M3」を採用した「STM32 F1」シリーズ(関連記事1)と「STM32 F2」シリーズ、「Cortex-M4」を採用した「STM32 F4」シリーズ(関連記事2)を発表している。今回のSTM32 F0シリーズの投入によって、同社のマイコン製品群はARMのマイコン用プロセッサコア「Cortex-M」シリーズを網羅したことになる(図1)。


 STM32 F0シリーズは、ミッドレンジ/ハイエンドの8ビットマイコンから16ビットマイコン、そしてローエンドの32ビットマイコンまでをカバーできる処理性能を実現している。例えば、最大動作周波数である48MHz動作時の処理性能は38DMIPS(Dhrystone MIPS)を達成した。24MHz動作時でも22DMIPSを確保している。ベンチマークの「CoreMark」で測定したCPU性能は1.41CoreMark/MHzとなった。約0.5CoreMark/MHzのCPU性能を持つ一般的な16ビットのCISCマイコンと比べると、約3倍の処理性能を備えていることになる。

 また、Cortex-M0の採用により、上述した性能を実現しつつ、一般的な8ビット/16ビットマイコンと同価格帯となる1米ドル以下の単価に抑えた。1000個購入時の単価は約0.95米ドルである。これによって、民生用機器や産業用機器の電源制御やモーター制御といった用途において、既存の8ビット/16ビットマイコンを置き換えることが狙いだ。

図1 「Cortex-M」シリーズを搭載するSTマイクロのマイコンポートフォリオ 図1 「Cortex-M」シリーズを搭載するSTマイクロのマイコンポートフォリオ

 STマイクロは「特に、周辺機能を強化しているので、民生用AV機器のインタフェース周りや、産業用モーターのインバータ制御に利用するのに最適だ」としている。周辺機能の一例となるのが、HDMIインタフェースを介して機器間の連携動作を行うHDMI-CEC(HDMI-Consumer Electronics Control)の送受信回路である。1バイトデータの送受信や通信エラーの通知/監視といったHDMI-CECの機能をハードウェアとして組み込んでいるので、ソフトウェアの負荷を軽くすることができる。また、I2C Fast-mode Plus(1MHz)をサポートするI2Cポートを搭載しているので、産業用機器のフロントパネルや電源部に搭載された制御ICとの通信を高速に行うことが可能だという。加えて、1個当たり4つのPWM(パルス幅変調)出力が可能なタイマーを3個、3相のブラシレスDCモーターを制御するためのタイマーも1個搭載している。

 さらに、アナログ周辺機能も充実させた。分解能が最大12ビットでサンプリング速度が1Mサンプル/秒のA-Dコンバータ、同じく最大12ビットのD-Aコンバータ、D-Aコンバータに接続する2個のコンパレータを搭載している。

 その他の仕様は以下の通り。動作電圧範囲は2.0〜3.6V。ROMの容量とパッケージが異なる9品種を用意している。ROMの容量は16Kバイト、32Kバイト、64Kバイトの3種類、パッケージは32端子QFN、48端子LQFP、64端子LQFPの3種類がある。現在、64Kバイト/64端子LQFPの「STM32F051R8」のサンプル出荷を開始しており、残りの品種は2012年第2四半期に量産を始める予定だ。また、STM32 F0シリーズに合わせて、。価格は199米ドルの評価ボード「STM320518−EVAL」も発表している(図2)。

図2 「STM320518−EVAL」 図2 評価ボード「STM320518−EVAL」 赤色の線で囲んだ部分に実装されているのが「STM32 F0」シリーズである。

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