三菱電機のSiCパワーモジュールは、既に同社の一般消費者向けのエアコン「霧ヶ峰」や、鉄道車両用インバータに組み込まれて製品化されている。同社は次のステップとして、SiCモジュール自体を製品として外販すべく、家電向けと産業機器向けの合計5品種を開発し、7月31日から順次サンプル提供を開始する。
三菱電機は、次世代パワー半導体材料であるSiC(シリコンカーバイド)を使うパワーMOSFETとショットキーバリアダイオード(SBD)で構成したパワーモジュール群を、「TECHNO-FRONTIER 2012(テクノフロンティア2012)」(2012年7月11〜13日、東京ビッグサイト)に出品した。白物家電に向けた定格600Vの3品種と、産業機器に向けた同1200Vの2品種である。同社は会期直前の7月9日に、これらのパワーモジュールを7月31日から順次サンプル出荷すると発表していた。
同社は既に、インバータにSiCパワー半導体を用いた一般消費者向けルームエアコン「霧ヶ峰」を製品化し、2010年10月から販売している(参考記事)。また、SiCパワー半導体を使った鉄道車両用インバータも製品化済みで、東京メトロ(東京地下鉄)の一部車両に搭載されており、2012年に入ってそれらの車両が営業運転に使用されているという。ただし、SiCパワーモジュール自体を外部に供給するのは、7月31日からのサンプル出荷が初めてである。
サンプル提供の第1弾として7月31日から出荷するのは、白物家電に向けた600V品の1つで、「ハイブリッドSiC DIPIPM」と呼ぶ品種である。パワーモジュールの構成要素のうちSBDのみをSiC化し、スイッチング素子にはSi(シリコン)のIGBTを用いるタイプだ。1対のIGBTとSBDを6組搭載しており、3相インバータに使える。外形寸法は24×38mm、定格電流は15A。駆動回路や各種保護機能も搭載した、いわゆるインテリジェントパワーモジュール(IPM)である。
これに続く同年8月には、同じく白物家電向けで力率改善回路を内蔵した「ハイブリッドSiC DIPPFC」と、SiCのSBDに加えてスイッチング素子にもSiC材料利用のMOSFETを採用した「フルSiC DIPPFC」の2品種のサンプル出荷を始める。その後は、産業機器に向けた1200V品の「ハイブリッドSiC-IPM」のサンプル出荷を2012年10月、同「フルSiCモジュール」を2013年1月にそれぞれ開始する予定である。
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