1種類のマイコンでも、プログラムを変えることにより、適用範囲が広がり、さまざまな電気製品に使えるようになります。ここでは、消費者に身近な家電製品の中で、マイコンがどの製品に、どのような形で使われており、どのような役割を担っているかを具体的に見ていきましょう。
下の図にマイコンが使われている家電製品を挙げてみました。いずれも皆さんの身近なモノだと思います。
冷蔵庫や洗濯機、エアコンなど、いわゆる白物家電では、表示機能やタイマー機能、コンプレッサやモーターを制御する機能でマイコンが活躍しています。
健康機器の血圧計では、モーター制御、バルブ制御、表示機能でマイコンが使われています。体温計では、温度センサーの信号を読み取る機能にマイコンが使われています。
さらに身近なモノにはリモコンがあります。テレビ、エアコン、最近では照明器具や扇風機にもリモコンが付属していますね。リモコンのボタンが操作されたことを検知したり、本体と通信する赤外線信号の制御もマイコンが担っています。
皆さんが趣味で手にされるような機器でも、マイコンは多く使われています。例えば、カメラやサイクリングを趣味で楽しむ方もいらっしゃるでしょう。カメラのレンズ(自動焦点)やシャッタースピード制御、手振れ補正、そして自転車ではスピードメーターやギアチェンジ(変速機能)にも、マイコンが使われています。高級な自転車だとサドルの部分のサスペンションもマイコンで制御するそうです。
業務用の電気機器でもマイコンは多く使われています。工業用の工作機械はもちろんのこと、家庭用の電気ドリルなどでも、モーターの回転数制御やバッテリの残量チェックのために使われています。
先に説明した通り、マイコンはもともと“計算機”として考案されました。ですから、本来の仕事は高機能演算です。消費者にとって身近な例ではありませんが、高機能な演算処理能力を必要とする用途も多々あります。例えば、STマイクロエレクトロニクスのマイコン「STM32シリーズ」が使われているちょっと変わった応用例を紹介しましょう。経済産業省が岐阜県情報技術研究所に委託して開発した、「アイガモロボット」(参考リンク)です。また、同じマイコンが「携帯用無呼吸検査装置」や、模型用ラジコンのジャイロセンサー、ガバナ(Governor:調速機)の制御に使われています。
このように、1種類のマイコンが、プログラムを変えることによって、低機能から高機能まで幅広く多種多様な分野で使用されています。
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