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そもそも「マイコン」って何?マイコン入門!! 必携用語集(1)(4/5 ページ)

» 2013年03月11日 07時30分 公開
[菅井 賢STマイクロエレクトロニクス]

実際の電気製品の中でマイコンが担う役割

 次に、具体的な電気製品として血圧計を例にとって、マイコンの仕事をもう少し詳しく見てみましょう。血圧計はマイコンが備える機能をたくさん使っていますから、事例として好材料だと思います。

 下図に血圧計の電気回路の例を示しました。エンドユーザーが実際に血圧計を使う時の操作の流れに沿って、マイコンの仕事を説明していきます。

 ユーザーの操作とマイコンの回路の対応が分かるように、図中に同じ番号をつけておきましたので参考にしてください。

血圧計の電気回路 血圧計の電気回路 (クリックで画像を拡大)

(1)電源を入れる(電源スイッチを押す)

(2)測定する人の情報(年齢や性別など)を押しボタンを使って入力する。
マイコンは、どのボタンが押されたかを検知する。

(3)測定開始ボタンを押すと測定が始まる。

(4)モーターが動作を開始し、バンド部に空気を送る。
マイコンはドライバ(トランジスタなど)に信号を送り、ドライバがその信号に従ってモーターを駆動する。

(5)心音センサーが、心音の変化をモニターする。
心音センサーの信号が電圧に変換され、マイコンが変換後の電圧を測定する。

(6)心音センサーから読み取った情報に応じて、エアーバルブを調整する。
マイコンはドライバ(トランジスタなど)に信号を送り、ドライバがその信号に従ってエアーバルブを調節する。

(7)測定が終わるとブザーを鳴らしてユーザーに知らせる。
マイコンがブザーを鳴らす。

(8)測定結果を液晶ディスプレイ(LCD)に表示する。
マイコンがLCDを点灯する。

(9)測定結果をデータ記憶装置(EEPROM)に格納する。
マイコンが通信機能を使って、EEPROMにデータを送る。

(10)ハイエンドの製品であれば、測定した結果を高度なデータ分析などに使えるように外部PCに送る。

(11)測定していない時は、時刻をLCDに表示しておく。
マイコンが時刻を計測し、表示する。

(12)血圧の測定に直接関係ないが、電池の残量を定期的にチェックする。
マイコンが電源電圧を定期的に測定している。

 上記の操作は、全て1つのマイコンで制御(操作)することができます。

リモコンに搭載されたマイコンの役割

 もう1つの例として、皆さんの家庭に必ずある赤外線を使ったリモコンで、エンドユーザーの操作とマイコンの動作の関係を見てみましょう。

 これも、ユーザーの操作とマイコンの回路の対応が分かるように図中に同じ番号をつけておきましたので参考にしてください。

リモコンの電気回路 リモコンの電気回路 (クリックで画像を拡大)

(1)リモコンは電池を取り付けたらいつでも動作可能な状態になるので電源スイッチは無い。
マイコンはまず待機モードに入って、電池のエネルギーを極力消費しない状態になる。そして、何かしらのボタンが押されるのを待つ。

(2)押しボタンを使って、必要な情報を入力する。
マイコンは、どのボタンが押されたか「割り込み」という機能で検知し、待機モードから通常の動作モードに移る。そして、押されたボタンに従って動作する。

(3)入力された情報に従って、本体に向けて赤外線信号を出力する。
マイコンは赤外線信号の情報を出力して、赤外線を発生するLEDを点滅させる。

(4)入力された情報をLCDに表示する。
マイコンがLCDを点灯する。

(5)時計付きのリモコンなら、動作していない時は、時刻をLCDに表示しておく。
マイコンが時刻を計測し、表示する。

 上記の操作も、やはり1つのマイコンで全て制御(操作)することができます。

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