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電子基板の故障の原因になる静電気電流の可視化を実現、NECエンジが発売へNECエンジニアリング ESD可視化システム

NECエンジニアリングの「ESD(静電気放電)可視化システム」は、電子機器の基板に印加される静電気電流の可視化を「業界で初めて実現した」(同社)ことを特徴とする。

» 2013年07月17日 07時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
NECエンジニアリングの「ESD可視化システム」

 NECエンジニアリングは2013年7月、電子機器の基板に印加される静電気電流を可視化する「ESD(静電気放電)可視化システム」を開発し、受注を始めたと発表した。価格(税別)は980万円から。出荷開始時期は同年9月の予定である。同社は、静電気電流の計測や計測結果分析などのコンサルタント業務と併せて、今後3年間で30社への納入を目指す。

 ユーザーが電子機器のボタンやコネクタ、スイッチなどに触れると、人体に帯電した静電気放電が起こり、それによって発生した電流が電子機器内の基板に流れて、故障の原因になることがある。このため、電子機器の基板を開発する際には、静電気放電対策が必要になる。

 しかし、これまでの静電気放電対策は、静電気試験器を使って基板に放電して、オシロスコープなどで基板の状態を確認しながら、熟練技術者の経験や勘を頼りに、影響を受ける可能性のある箇所にアースを取り付けるという方法が一般的だった。

 ESD可視化システムを使えば、静電気試験器を使って基板に放電した際に、機器内の基板上を流れる静電気電流を自動的に計測できる。計測した静電気電流の電圧は、システムの制御用PCのディスプレイ上で、電圧の強弱によって色分け/アニメーション表示される。このような「業界初」(NECエンジニアリング)となる静電気電流の可視化により、静電気放電に起因した電子機器の誤動作や故障が起こりやすい箇所の特定が容易になり、熟練技術者でなくても的確な対策を講じることが可能になるという。

 計測可能なサイズは、幅500×長さ500×高さ210mmまで。計測時間は、1845ポイント(41×45ポイント)で約50分間となっている。

ESD可視化システムのスキャナユニットの外観(左)と静電気電流の可視化の例(クリックで拡大) 出典:NECエンジニアリング

 システムは、静電気電流を基板に印加する静電気試験器、基板を流れる静電気電流の電圧を計測するスキャナユニットとオシロスコープ、システムの制御と静電気電流の可視化を行う制御PCと専用ソフトウェアから構成される。980万円の価格には、スキャナユニットと専用ソフトウェアだけが含まれる。

 また、静電気試験器は、ノイズ研究所の「ESS-S3011」とテセックの「NSG 438」を、オシロスコープはアジレント・テクノロジーの「InfiniiVison MSOX3034A」を推奨している。これら以外の装置を用いる場合にはカスタマイズ費用が発生する。

 なお、ESD可視化システムは、「TECHNO-FRONTIER 2013」(2013年7月17〜19日、東京ビッグサイト)で動態展示を行う予定だ。


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