部品メーカーは古い装置には新しい部品を使うことを勧めている。しかし、新しい部品は価格が高く、古い装置の改造も必要になり、コスト高を招く。このことは、国内電機業界の苦戦の一因ではないか。古い装置の部品のサポート体制の見直しや情報開示が進み、中古装置ビジネスが活発化することを望む。
筆者は2012年の4月から装置に使用されている部品や基板の修理業務に携わっているが、古い装置の維持に必要な古い部品の修理が困難であることがよく分かった。部品メーカーは古い部品のサポートを早々に切り上げ、修理も断っている。しかも部品の情報はクローズされ、部品の情報が皆無な状態で部品や基板を修理することになる。
これでは正確な部品修理は困難で、修理コストも高くならざるを得ない。これが設備をサポートすることの大きなネックになっており、古い設備のサポート業務はかなり難しい。
部品メーカーは古い装置には新しい部品を使うことを勧めている。しかし、新しい部品は価格が高く、また古い装置に使うには装置の改造も必要になる。このため、価格がさらに高くなってしまう。結局、新しい部品はコスト高で使えず、古い部品は情報不足で修理できない。やむを得ず修理依頼主に頼んでメーカーへサポート中止部品の情報の開示を要求しても機密保持とか、古いので装置の図面がないとかの理由で部品メーカーから断られる。
こんな具合で、古い設備のサポート業務は八方ふさがりの状況である。
現在は日本の半導体や電機メーカーが苦戦しているが、これを部品メーカーが積極的に支援するような動きがないと、半導体や電機メーカーはさらに窮地に陥ってしまうだろう。ユーザーが新規設備を導入するにはその前にユーザーの利益を上げることが必要であり、現状でユーザーの利益に貢献することが新規設備の導入につながる。これをよく考えて、古い装置の部品のサポート体制の見直しや情報開示を、部品メーカーにも考えてほしい。
今のままではユーザーと部品メーカーの双方が、じり貧に陥ってしまうだろう。筆者も生産設備の部品の修理を行っているが、古い設備を支援する環境が全く整っていないため、部品の修理に時間がかかり、修理の採算が取れないのが現状だ。
今回は装置の稼働状態の表示灯(通称:パトライト)に使用されている電球をLED電球に変えることが可能か、顧客の依頼もあって調べてみた。その結果、部品メーカーやLED電球メーカーの仕様上の問題点が見つかった。この件は読者にも参考になると思うので、詳しく説明する。
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