最初にコンデンサどういった部品なのかを復習しましょう。
コンデンサには色々な種類があります。積層セラミックコンデンサ(以下、セラミックコンデンサ)やタンタル電解コンデンサやアルミ電解コンデンサやフィルムコンデンサなど、誘電体に使用されている材料と構造で分類されています。
電解コンデンサと呼ばれるものは大容量の電源系(電源の整流回路など)に用いられ、フィルムコンデンサは安定した容量が必要な時(発振回路など)に使用されます。セラミックコンデンサは幅広い周波数帯に使用できるので、マイコンのデカップリングコンデンサにはセラミックコンデンサが使用されます。
実際のコンデンサには容量成分の他に抵抗成分とインダクタンス成分が含まれています。セラミックコンデンサはこれらの成分が小さいため、高周波数になるほどインピーダンスが小さくなるという特長があります。一般的にノイズ成分は高周波数ですので、セラミック・コンデンサはノイズ除去に優れているといえます。
コンデンサの特性は、EDN Japanの記事「コンデンサの基本、選択のポイント」を参考にしてください。
次に、実際に32ビットマイコン「STM32F2シリーズ」(STマイクロエレクトロニクス製)を使って、具体的な電源回路の設計方法および注意点を説明します。
今回は、STのwebサイトでダウンロードできる、「AN3320:Getting started with STM32F20xxx/21xxx MCU hardware development」というアプリケーションノートを例に挙げて説明します。なお、他のマイコンメーカーでも通常この様なドキュメントを用意していますので、ご使用になるマイコンメーカーにご確認ください。
このアプリケーションノートのDecoupling(デカップリング)という章に具体的なコンデンサの種類と容量が記載されています。
「各電源端子に、複数のセラミック・コンデンサ(100nF)と1つのタンタルまたはセラミック・コンデンサ(4.7μFからtyp.10μF)を接続してください」と記述されています。そして、図2に示すような推奨回路も記述されています。
ここで「複数とは具体的に何個?」と疑問を持たれると思います。この様な場合は、マイコン(例では「STM32F2」)を評価するために準備されている評価用ボード(ここでは「STM3220G-EVAL」)の回路図を参考にすれば、どんなコンデンサが何個必要かを推測できます。例に挙げた回路をみると、マイコンは176ピンで、そのうち電源端子は14本になっています。これに対して100nFのセラミック・コンデンサが15個、4.7μFのタンタル電解コンデンサが1個付いています。このことから、おおよそ1電源端子に1個、またはそれ以上のコンデンサが付いていることが分かります。
ピン数の少ないパッケージを使用する場合は、ピン数に合わせてセラミックコンデンサを減らしても構いません。
ユーザーのシステムで発生するノイズの種類や電源電圧の変動は一様ではないので、必ずしもマイコンメーカーの推奨回路通り作る必要はありませんが、設計の目安になります。最終的にはユーザーが決定します。
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