モンテカルロ解析の偏差を設定する時にGUIを使うツールでは一様分布か正規分布のどちらか1種類しか設定できないツールがほとんどです。この場合には前回の説明の通り、一様分布を指定すれば良いでしょう。
しかし、LTspiceやTopSpiceのようにコマンドで設定するツールでは部品ごとに正規分布か一様分布か、を指定できます。LTspiceでの設定例をリスト3に示します。
しかし、この場合も一様分布で問題がなければそれほど分布形状にこだわる必要はないと思います。
部品の値の欄にmc{(val,tol)}と記入してMC関数を呼び出します。
パラメータ関数を使って値をそれぞれ指定します。(注:文頭のピリオドを忘れないように)
.param val=1K
.param tol=0.05
部品が多品種になる場合は{mc(1K,0.05)}のように直接、値を指定した方が分かりやすいでしょう。
正規分布関数をユーザー定義関数gmc(val,tol)として次のように定義しておきます。
.func gmc(val,tol){val+gauss(tol*val/3)}
(絶対偏差を相対偏差に変換します。また、偏差を3σ相当と考え、指定するσを1/3にします)
部品の値の欄にgmc{(val,tol)}と記入して定義したユーザー関数を呼び出します。
val,tolの指定方法はmc関数と同じです。
一般的なSPICEでは今回のモンテカルロ解析の設定を図5のようなGUIで設定するものが多いのですが、ツールによっては上記のLTspiceのように全てテキストコマンドで記述するものや、GUIとコマンドテキストを組み合わせたもの、など多くのものがありますのでお手持ちのマニュアルをご参照願います。
筆者の感想ですが、“GUIでは細かな設定ができない”とよく言われますが図5のGUIでは立ち上がり、立ち下がり時間やY方向の最大値、最小値、最大偏差などを設定できますのでほとんどの用途で不満を感じることはありません。今後はGUI方式が主流になっていくのではないかと思います。
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