ステッピング・モーターは、高信頼性/高精度アプリケーションにおける使用が拡大し続けています。しかし、これらの電気機械システムには設計の課題も山積みです。システム性能のマッピングと適応制御アルゴリズムの使用が、どのように効率の最適化と性能の向上につながるかを考察します。
2極ステッピング・モーターは、精度、性能、本質的な信頼性の点で多くの工業用、商用、車載用システムにとって魅力的であるため、高信頼性/高精度アプリケーションにおける使用が拡大し続けています。しかし、これらの電気機械システムには設計の課題も山積みです。ここでは、システム性能のマッピングと適応制御アルゴリズムの使用が、どのように効率の最適化と性能の向上につながるかを考察します。
ステッピングピング・モーターベースのモーション制御システムの最適化において、エンジニアはコスト、性能、効率、予測不能なフィードバックの複雑さ(機械的共振など)、開発時間についてバランスを図らなければなりません。最新のモーター制御システムは多くの厳しい環境で動作することが要求され、古典的な解決法による総合的な効率は通常、システム全体で遭遇するワースト・ケース条件によって制限されます。最適化された電気機械システムの最大効率を引き出すのに不可欠なのが適応制御アルゴリズムです。
効率を最大にしたい場合は、全てそろった電気機械システムの境界条件をマッピングする必要があります。温度、機械的劣化、加速、速度、電源電圧など、全てのシステム変数を考慮しなければなりません。システム・アーキテクチャも影響を与えます。
オープン・ループ・システムでは通常、ワースト・ケースの電流ドライブおよび速度プロフィールでモーターを活性化する必要があるため、このようなシステムでは効率を高めるのが設計目標ではないと想定した方が安全です。共振のリスクを最小限にするために、システムが動作する環境で考えられる、あらゆる電源電圧、温度、速度についてシステムを検証しなければならないため、この種のテストには非常に時間がかかります。どのステッピング・モーター・システムにも共振が起こる可能性が存在します。共振はステッピング・モーターを自然周波数(またはそれに近い周波数)で動作させることが原因で発生する場合がよくあります。共振によってモーターがステップを失ったり、ストール状態に陥ったりする可能性さえあるため、これらの領域を回避することが重要です。しかし、オープン・ループ・システムではこれらの領域を識別することが極めて困難な場合があります。
クローズド・ループ制御は一般に、センサーベース・システム(通常は光学式またはホール効果式)とセンサーレス(「セミクローズド・ループ」とも呼び、最も一般的にはモーターの電磁界を通過するモーター巻線によって生成される電圧を検知する)の2つの形態を想定しています。センサーベースの制御システムは幅広く使用されていますが、マッピング作業中にその他のセンサー・バリエーションも併せて検討する必要があります。センサーレス・システムには、モーターの物理的運動に関連する情報だけを読み取ればいいという最大の利点があります。しかし、良い設計を行うには「逆起電力」の本質を理解することが求められます。もう1つの重要な利点は、クローズド・システムまたはセミクローズド・システムではシステムのコストが低いこと、そして外部センサーが不要のためシステムが複雑にならないことです。
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