ディザー回路は、コイルで降圧してコンデンサに充電するイメージの回路だった。一般的なPFC回路は昇圧してDC380Vを作り、この電源を変換して目標の電圧を生成している。PFC回路では高電圧のDC380Vの存在が気になっていたが、ディザー回路は高圧部分が少なく安全な電源方式なのかもしれない。
実装された部品を追って、不良部品を探したら、3個の不良が見つかった。図5に写真を示す。
部品単品で確認したら3個の部品とも焼損・劣化していた。
これらの部品を交換したらDC24Vが出力された。
この結果から電源破損の原因を推定してみた。もっとも焼けている部品はコンデンサC18だ。C18は電解コンデンサC19の充電後にトランスL13から発生するサージを吸収する部品だ。しかし、長期間サージ吸収を行うことでC18が劣化しリーク電流が大きくなり抵抗値が下がる可能性は高い。電解コンデンサのC19の容量が多い場合は、コイルに流れる電流量が制限されC18が劣化することはないが、C19の容量が少なくなるとコイルの電流量が増え過大なサージが発生し、C18が焼損に至る可能性は高い。
C19の電解コンデンサは耐圧200Vの部品だが、通常は170Vで使用されている。しかし、周囲の熱で電解コンデンサの容量が低下することは容易に考えられる。C19の容量が減るとトランスに流れる電流が増加し、サブ電源を供給するDX(SMT)にも大きな電流が流れ始める。C19の容量が完全になくなったら、C18は過大なサージで焼損し、DXも加熱して短絡破損したと考えられた。この結果C18,C19,DXが劣化・破損し、最終的にC18が焼損・断線、DXが短絡・破損して、電源の出力が停止したと推測された。
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