スイッチングレギュレータを使う場合はスイッチング動作でリップルが発生する可能性があります。商用電源などから交直変換する場合でも、交流成分が原因でリップルが発生する場合があります。また、配線がアンテナとなり外来ノイズを拾います。USB電源の場合は、USBケーブルでつながるPCもノイズ源になります。
リップルはマイコンの仕様範囲内の変動であれば、直接動作に影響は与えませんが、その中に含まれる高調波成分がノイズ源になることがあります。ノイズはマイコンの誤動作を引き起こします。そのため、マイコン用の電源ではリップルとノイズを極力減らす必要があります。マイコン側ではデカップリングコンデンサやチョークコイルなどを使って、リップル低減やノイズ対策を強化します。
例として図1に商用電源をトランスで降圧し、3端子レギュレータで電圧を安定させる回路を示します。交流を整流したときのリップルが残る可能性があるので、回路定数(コンデンサ、配線の引き回しなど)の設計には注意が必要です。
ノイズが最も少ない電源は、電池です。交流成分を含みませんし、外部とのつながりも少ないので、リップルやノイズの心配はいりません。どちらかと言うとマイコンが発するノイズの方が問題になるでしょう。
電池の欠点は、使用しているうちに、電圧が低下することです。マイコンには動作電圧の規格がありますので、電源電圧が規格外になると動作は保証されません。商用電源から直流電源を作る場合は常に供給電圧が一定になるので、電圧低下の心配はありません。USBなどの直流定電圧源から作られた電圧も基本的に一定であり、こちらも電圧低下を心配する必要はないでしょう。
電池の電圧低下の対策として、マイコンは自身で電源電圧をチェックし、電源電圧が低下してきたら、外部(ユーザー)に警告(表示や音)を出して電池交換を促す必要があります。マイコンに電源電圧監視回路やA-Dコンバータが搭載されていて、常時電源電圧をチェックすることができると非常に便利です。
また、全ての電源で、事故による電圧低下(最悪は電源遮断)を考慮する必要があります。万一の事故に備え、予備電源を接続しておくためのバックアップ用電源端子を備えたマイコンがありますので、この機能を利用するのも良いでしょう。
図2にSTマイクロエレクトロニクスのSTM32Fシリーズに搭載されている(1)PVD(Programmable Voltage detector)と(2)A-Dコンバータを利用した電源チェック回路の例(3)バックアップ端子Vbatの例を示します。
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