課題の1つは、「高データレート化(高周波化)に伴う著しい信号損失」である。ケーブルアセンブリにおける伝送特性を測定するために、専用のテストフィクスチャを用いる。ところが、10Gbpsのデータレートになると、テストフィクスチャのトレースの影響を受けてしまう。測定時にはその影響を取り除くための補正が必要となる。
USB 3.1およびType-Cコネクタでは、テストフィクスチャの影響を取り除く方法として、従来のTRL校正方法に加えて、2x Thruを用いたDe-embedding法が新たに採用された。ここでは、この手順を簡単に紹介する。
2x Thruを用いたDe-embedding法による測定では、まず電子校正(ECal)モジュールを用いてRFケーブル端で校正を行い、校正基準面をTP1とTP2に設定する。次に、2x Thruスタンダードを接続してSパラメータを取得する。この時、2x Thruの長さは、TP1からTP3のトレース長と、TP2からTP4のトレース長を足し合わせたものと等しくする必要がある。最後に、物理層テストシステム(PLTS:Physical Layer Test System)ソフトウェアが備える自動フィクスチャ除去機能(AFR:Automatic Fixture Removal)の2x Thru用De-embeddingアルゴリズムを用いて、テストフィクスチャ1と2のDe-embeddingファイルを取得する。
テストフィクスチャの影響を取り除き、プロトタイプのUSB Type-Cケーブル/アセンブリの差動挿入損失を測定した。下記グラフの黒色の線が合否ラインで、測定値が上部にあれば合格となる。AFRを用いたDe-embedding法による測定結果を青色の線で示した。オレンジ色の線は従来から用いられてきたTRL校正による測定結果である。青色とオレンジ色の線はほぼ重なり合っており、この結果から両者に高い相関関係があることが分かった。緑の線はテストフィクスチャの影響を取り除かない場合の結果であり、De-embedding法により影響を取り除くか否かで、合否判定が変わることがわかる。
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