連載2回目となる今回は、「USB 3.1/Type-Cコネクタ/ケーブルの評価」について解説する。特に、データレート10Gビット/秒(Gbps)を実現するインターコネクトの課題と、ネットワークアナライザを用いた検証方法について述べる。
⇒「USB Type-Cの登場で評価試験はどう変わる?」第1回はこちら
高速伝送や大電力供給(PD:Power Delivery)を可能とするUSB 3.1/Type-C。これらの規格に対応した機器やモバイル端末を開発するためには、設計技術と同様に高度な試験/評価技術が必要となる。USB Type-Cコネクタ/ケーブルの評価もその1つである。本稿では、10Gビット/秒(Gbps)インターコネクトにおける設計の課題と評価技術について解説する。
USB 3.1は、Gen1(SuperSpeed)の伝送レート5Gbpsに加え、Gen2(SuperSpeedPlus)では10Gbpsがサポートされ2倍の伝送レートとなった。エンコーディングの改善により、実質的には2倍を超える性能を達成する。また、USB 3.1でサポートされるType-Cコネクタは、従来のType-Aコネクタに比べて、形状が極めて小さく、リバーシブルプラグによる反転挿抜などを可能とした。その分、端子数は24端子に増えた。USB 3.1/Type-Cの概要については前回の記事でも紹介したが、確認のために基本的な仕様について再掲する。
USB 3.1/Type-Cの測定要求に対しても前回、キーサイトが提供するテストソリューションを中心にその概略を簡単に紹介した。大別すると「送信機試験」、「インターコネクト試験」、「受信機試験」がある。この中から本稿ではネットワークアナライザを用いたインターコネクト試験/評価について解説する。
USB 3.1ケーブル/コネクタ仕様で定義されている測定項目は、「時間領域測定」と「周波数領域測定」の2グループに分かれている。また、これまでのUSB 3.0測定項目に比べて、「チャネルメトリックス」や「ケーブルのシールド効果」などが、USB 3.1では新たに追加された。なお、「Normative」の項目はコンプライアンス試験における合否判定基準となるが、「Informative」の項目は設計目標であり、達成することが必須ではない。
USB 3.1規格の大きな特長の1つは、10Gbpsの伝送レートに対応していることである。このため、設計マージンは一段と厳しくなり、使用するケーブルやコネクタにも改善が求められる。10Gbpsインターコネクトに対する課題はいくつかあるが、本稿ではその中から、主要な5つの課題とその対策について解説する。
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