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DC/DCコンバータの周辺部品削減と安定化Design Ideas パワー関連と電源(1/2 ページ)

PWM方式絶縁型DC/DCコンバータの高性能フィードバック回路は多くの場合、誤差増幅器が使用される。今回は、部品点数を削減し、安定性を高めることができるフィードバック回路を紹介する。

» 2015年11月25日 11時30分 公開

 PWM方式絶縁型DC/DCコンバータの高性能フィードバック回路には、多くの場合、誤差増幅器が使用される。図1の誤差増幅器では、後段のオペアンプIC1Bが誤差成分を反転し、グラウンドを基準レベルとするフォトカプラーIC2を駆動することによりフィードバック信号を生成する。

 この場合、フィードバック経路に電源出力(DC/DCコンバータからの出力)からのノイズが混入して発振するのを防ぐには、電源変動除去比(PSRR)の良好なオペアンプを使用するとともに、その基準レベルをグラウンドレベルに確実に保持する工夫が必要である。

図1:誤差増幅器を使用した通常のフィードバック回路 (クリックで拡大)
この構成では、オペアンプ2個と10個余りの受動素子が必要となる。

 図1において、その他の回路の役割は次のようになる。まず電源出力の電圧が抵抗R1とR2で分圧されてアンプIC1Aの反転入力端子に入力される。この電圧は高精度のシャント型基準電圧源IC3(図1では「LM4040」を使用)からの基準電圧と比較される。コンデンサC2、C3、抵抗R3は、電源系の安定化を図るための周波数補償に用いられる。

 このような構成の場合、2個のオペアンプ、1個の高精度基準電圧源、4個または5個のコンデンサ(多くの場合、5個目のコンデンサを用意し、抵抗R6と並列接続する必要がある)、7個の抵抗が部品として必要になる。

カレントミラー回路が内蔵されたICを活用

 図2に示したのは、部品点数を削減し、なおかつ安定性を高めることを目的とした代替回路である。この回路では、IC3によりフォトカプラーIC2の駆動電流が広範囲に変化した場合でも一定の基準電圧が供給されるようになっている。基準電圧は抵抗R2、R3により分圧され、この電圧が、抵抗R1経由でIC1の反転入力端子に入力されるコンバータからの電源出力の電圧と比較される。

図2:改良後のフィードバック回路 (クリックで拡大)
IC4のPWMコントローラにはカレントミラー回路が内蔵されている。この回路の働きによりフォトトランジスタの出力電圧が一定値にクランプされ、フィードバックループの応答速度が改善される。

 このような構成とすることにより、この電源出力からのノイズを抑制できる。すなわち、オペアンプの入力において基準電圧と電源出力の電圧変動が同相であるためノイズ耐性が高くなるのだ。また、この回路で必要となるのは1個のオペアンプと高精度の基準電圧源、4個のコンデンサ、6個の抵抗であり、図1の回路に対して部品点数を削減することができる。

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