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広範囲の負電圧から正電圧を得る回路Design Ideas パワー関連と電源(2/2 ページ)

» 2016年02月26日 11時30分 公開
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出力電流が200mAで80%を超える変換効率

 図2は、負電圧入力が変化したときの正電圧出力を示す。入出力間の最大電位差は、コンバーターICに内蔵されたスイッチング素子(パワーMOSFET)のドレイン‐ソース間耐圧(VDS)よりも大きくなってはならない。

 今回使用したコンバーターICのVDSは18Vである。一方、図1における入出力間の最大電位差は17Vになる。入力電圧の最小値が−12V、出力電圧が5Vであるからだ。従ってVDSに対して1Vのマージンを確保できる。このマージンによって、ダイオードD1による電圧降下と、パワーMOSFETのドレイン電極における電圧スパイクを補償することが可能である。

 図3に、負荷が変化した場合に出力電圧がどの程度変化するかを示した。出力電流(IOUT)の最大値は、入力電圧と出力電圧の比やコンバーターICの電流制限の設定値に依存する。この回路の変換効率を図4に示す。出力電流が200mAのときに80%を超える変換効率を達成できる。

図2:負電圧入力に対する正電圧出力の変化 (クリックで拡大)
入力側の変動に対する出力電圧の変化は、負電圧入力の全範囲にわたって±40mV以内に収まる。
図3:負荷変動に対する正電圧出力の変化 (クリックで拡大)
負荷の変動に対する出力電圧の変化は、出力電流の全範囲にわたって14mV以下と小さい。
図4:変換効率 (クリックで拡大)
変換効率は出力電流が約200mAのときに最大になる。最大変換効率は81%と高い。

Design Ideas〜回路設計アイデア集

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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。

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