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マージンのない電源の危険性Wired, Weird(2/3 ページ)

» 2016年06月06日 11時30分 公開

コンデンサー破裂、ヒューズ切れはなぜ起きたのか?

 さて、電解コンデンサーのトップの異常な亀裂と5Aのヒューズ切れは、なぜ発生したのか? まずは、故障箇所を確認して修理を試みた。破損した電解コンデンサーとヒューズを外し、電解コンデンサーの特性を確認した。図3に示す。

図3 電解コンデンサーの特性確認の様子 (クリックで拡大)

 電解コンデンサーの残容量は、なんと27pFしかなく、150μFの容量が完全になくなっていた。

PFC回路を確認、コンデンサー耐圧は420V

 この電解コンデンサーは耐圧が420Vで容量は150μFだ。スイッチング電源の型名からデータシートを探し、入力電源範囲を確認したらAC85Vから265Vだった。かなり広い入力電圧範囲だ。この電源はユニバーサル仕様でやはり一次側にはPFC回路が搭載されていた。

 修理用の部品庫から電解コンデンサーを探したが、耐圧400Vで容量180μFしかなかった。取りあえず、これを実装して電源の動作を確認した。AC100Vを通電するとDC5VとDC24V電圧は正常に出力された。100W程度の負荷を付けても出力電圧は安定し、動作は正常に思えた。

通電5秒で、熱を帯びる

 しかし、5秒程度しか負荷を掛けていないのに電解コンデンサーを触るとほんのりと温かかった。5秒というわずかな時間の稼働で電解コンデンサーが熱を持っていることが気になった。

 無負荷の状態で、仮の電解コンデンサーの電圧をテスターで確認したら、

 あっ やばい!

 定格を超えた電圧が電解コンデンサーに印加されているっ!

 なんと、「DC423V」が測定されたのだ

 テスターは平均値を表示するので、印加電圧の最大値は430V程度に達しているだろう。

 この測定結果で電解コンデンサーの異常破損の原因が分かった。それは電解コンデンサーに最大定格を越えた電圧が印加されたため、漏れ電流が多くなり電解コンデンサーが過熱して電解液が揮発し内部圧力が高くなって、一気にガス状の電解液が外部へ漏れたと思われる。恐らく故障時には『バーン』という大きな破裂音があったに違いない。

 今回、修理をしながら、思い出したエピソードがある。

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