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低消費無線規格「Thread」IPスタックの基礎IoT時代の無線規格を知る【Thread編】(2)(2/4 ページ)

» 2016年07月05日 11時30分 公開

IEEE802.15.4

 Threadの標準技術は、2.4GHz帯において250Kビット/秒で動作する「IEEE802.15.4」の物理層とMAC(Media Access Control)層を使用している。具体的には「IEEE802.15.4-2006版」の仕様が、Threadスタックに用いられる。

Threadスタックの概要 (クリックで拡大) 出典:Thread Group

 802.15.4MAC層が基本的なメッセージングと通信の衝突回避制御に使われる。このMAC層には、CSMA(Carrier Sense Multiple Access:キャリアセンス多重アクセス)メカニズムがデバイスによるチャンネルの空き検知に使われ、リンク層で、隣接デバイスとの通信信頼性を確保するためのACKと再送信を行うことが定義されている。

 MAC層の暗号化と完全性保護が通信に用いられるが、ソフトウェアの上位層で発行および設定された鍵が使われる。これらの信頼できる端末間通信のメカニズムをベースに、ネットワーク層が構築されている。

No Single Point of Failure

 Threadスタックが動作しているデバイスで構成されたシステムにおいては、いずれのデバイスもシステムを破綻させる唯一の欠損点とはならない。これを、「No Single Point of Failure」と呼ぶ。Threadスタックでは、いくつかのデバイスはシステムの中で特別な機能を持つが、これらのデバイスはThreadネットワーク内で、実行中のコミュニケーションに影響なく置き換わることができるよう設計されている。

 例えば、スリープ機能を持つ子機が親機に通信を要求した際、この親機はその通信の唯一の欠損点となり得る。しかしながら、スリープ機能を持つ子機は、その親機が通信不能となった場合、ユーザーによる機器の操作なくして他の親機の選択をする。

画像はイメージです

 システムはNo Single Point of Failureに向けて設計されているが、特定のトポロジーではバックアップの確保ができない個のデバイスが存在し得る。例えば、単一のゲートウェイで構成されたシステムが、これにあたる。もしこのゲートウェイが電源を失った場合、代替のゲートウェイに切り替えるすべがない。Threadでは、ボーダールーターがゲートウェイの役割となるが、複数のボーダールーターを持つことができる。

 ルーターとボーダールーターは、Threadネットワークで特定の役割であるリーダーになり得る。リーダーは、ネットワーク内で決定を行う事が求められる。

 例えば、リーダーはルーターのアドレスの割り当てを行い、新しいルーターになるという要求の許可をする。リーダーのデバイスは選挙で選ばれ、リーダーに不都合が生じた場合は、他のルーターかボーダールーターがリーダーの役割を担う。これらの運用は自動で行われ、No Single Point of Failureを確かなものにしている。

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