修理業務を指導している友人から焼損を起こした減圧ポンプのモータードライバーについて相談があった。現品を見せてもらったが、かなりひどい焼損事故だった。
修理業務を指導している友人から焼損を起こした減圧ポンプのモータードライバーについて相談があった。現品を見せてもらったが、かなりひどい焼損事故だった。図1に示す。
図1左は側面から見た焼損箇所で、右は反対側から見たものだ。電源の突入電流防止回路のリレー接点が焼損し、その後段のNTCサーミスターが燃え、ヒューズまでも破損していた。焼損したドライバーが使用された機器は減圧ポンプで24時間365日連続稼働する機器だ。
焼損した原因は減圧ポンプが連続稼働中にリレー接点の接触抵抗が増加し、接点が過熱して断線すると、NTCサーミスターを通して電流が流れNTCサーミスターが過負荷になって焼損したと考えられた。本来はここまでひどい焼損機器の修理はしない。ただ、電源回路の分かりやすい部分なので修理は可能だった。突入電流防止回路の回路例を図2に示す。
図2は突入電流防止回路の一般的な例だ。この回路の目的は、電源投入の際に電荷がない電解コンデンサーに電圧を印加すると過大な電流が流れ、ヒューズなどの部品を破損することがあり、これを防止するためにある。図2で電源投入の際はNTCサーミスターで電流を制限して電解コンデンサーに充電し、充電電圧が上がると2次側の制御電源でリレーを動作させリレー接点でNTCサーミスターを短絡し、大きな電力を取り込むように動作している。
ではなぜこのような焼損事故が発生したのか。機器は稼働中、リレー接点を通して大きな電流を取り込んでいるが、リレーの接点の接触抵抗が徐々に増加して、接点が過熱して焼損して断線することにある。その後、NTCサーミスターに大電流が流れNTCサーミスターが過熱して焼損したと考えられた。これを防止するためには接触抵抗が劣化しにくいハーメチィックタイプのリレーを使えば焼損事故は少なくなると考えられる。焼損した部品と代替のリレーを図3に示す。
図3左は焼損したNTCサーミスターとリレーだ。リレーは跡形もなく焼損して、かなり大きな電力でリレーが焼損したことがよく分かる。図3右の右側に代替のリレーを示した。
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