TDKの「MAF1005Gシリーズ」は、スマートフォンなどのオーディオラインに向けたノイズ除去フィルターだ。1005サイズと小型ながら、音質を劣化させずにノイズを除去することが可能となっている。さらに、セルラー帯(700MHz〜2.5GHz)におけるスプリアスレベルも、抑制できる。
TDKは2016年8月30日、オーディオラインに挿入するノイズ除去フィルター「MAF1005Gシリーズ」を開発したと発表した。スマートフォンやタブレット端末、ポータブルゲーム機など、通信機能を備えるポータブル機器の用途に向ける。
MAF1005Gシリーズは、オーディオコーデックなどのICからイヤフォン(ヘッドフォン)やマイクにつながるオーディオラインに挿入される。外形寸法が1.0×0.5×0.5mm(1005サイズ)と小型ながら、音質を劣化させずにノイズ除去ができることと、セルラー帯(700MHz〜2.5GHz)におけるスプリアスレベルを従来比で最大50dB抑えられることが、最大の特長となっている。
スマートフォンなどのオーディオラインにおける輻射ノイズの対策には、チップビーズなどのノイズ除去部品が用いられている。だが、ノイズ除去部品を用いることで音声信号がひずみ、音質が劣化してしまう。MAF1005Gシリーズは、TDKが開発した低ひずみの新しいフェライト材料を使い、設計を最適化することで、音質劣化を起こさずにノイズを除去することが可能にした。TDKによれば、THD+Nの値を、チップビーズなどのノイズ除去部品を挿入しない時と同等レベルに抑えられたという。「ノイズの除去」と「高い音質」を両立できるようになる。
スマートフォンなど小型の携帯無線端末の基板では、実装面積が制限されていることから、オーディオラインの近くにアンテナを実装しなければならないケースも出てくる。すると、アンテナの信号がオーディオラインに伝搬してしまい、スプリアスが発生してしまう。MAF1005Gシリーズは、このスプリアスレベルも抑制できる。
MAF1005Gシリーズとして、インピーダンスや定格電流が異なる3種類を用意している。今後は、ニーズを見ながら、インピーダンスを上げるなどの方向でシリーズを拡大していくという。
サンプル単価は30円。既に量産を開始していて、月産2000万個の量産体制が整っている。
なおTDKは、同様のノイズ除去フィルターとして「MAF1608Gシリーズ」もそろえている。こちらは、イヤフォンやマイクよりも出力が大きいスピーカーにつながるオーディオライン向けの製品となっている。
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