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LED照明に適したPWM方式の定電流源回路Design Ideas ディスプレイとドライバ(1/2 ページ)

多くのLEDを使用するには、電流制限抵抗を使用せずに、効率良く電力を供給する必要がある。今回は、約20個のLED群に対する低コストの定電流源として使用できる回路を紹介する。

» 2016年09月15日 11時30分 公開

LEDに効率よく電力供給するには……

 汎用の照明に、LEDが使用されるケースが増えてきた。例えば、Philips Lumileds LightingのLEDシリーズ「Luxeon」は、部屋の照明や効果照明などによく用いられる。こうした動向に伴い、LEDに、いかに効率良く電力を供給するかが課題となってきた。

 数個のLEDに電力を供給するのであれば、電流制限抵抗を使用すれば済む。しかし、照明アプリケーションでは、広い面積を照らすために、20個ないしはそれ以上のLED群を使用する。従って、電流制限抵抗を使用するのとは異なる方法で、効率良く電力を供給する必要がある。

図1:20個のLED群のためのオフライン定電流源回路 (クリックで拡大)

 図1に示した回路は、20個ほどのLED群に対する低コストの定電流源として使用できる。その中心となるのは、ON Semiconductorの「NCP1200A」(IC1)だ。これは、汎用的なオフライン電源用の100kHz/電流モードのPWMコントローラーである。通常の設計では、LED用の電源は電圧源として構成するが、このアプリケーションでは、NCP 1200Aを用いて定電流源として構成している。図2、3に回路の外観を示す。

 図1の回路では、D2〜D5の全波ブリッジ整流器とC1のフィルター用コンデンサーにより、PWMコントローラーIC1とその周辺回路部に約160Vの直流電圧が供給される。抵抗R3はIC1の電流検出端子(CS端子)に対するバイアスを変化させるが、これを6.2kΩにすると、電流検出抵抗R6の値を1.2Ωにすることができる。R6の抵抗値を下げれば、ここでの電力消費を抑えて効率を改善することが可能である。

図2:図1回路の外観 (クリックで拡大)

 コンデンサーC3は、フィードバック回路の電流を安定させるためのものだが、LED群がオープンになってしまった場合には、400Vの電圧を吸収する役割も果たす。抵抗R5とコンデンサーC4で構成されるRC回路は、IC1のCS端子に対して若干のローパスフィルター効果を与える。

 ブリーダ抵抗R1、R2は、ACライン電源のプラグが抜かれたときにプラグ端子間に衝撃電圧が発生するのを防止する。R1、R2の代わりに、1MΩのスルーホール実装型抵抗を使用することもできるが、500kΩの表面実装型抵抗を2個用いたほうが低コストであるし、実装上の都合も良い。またコンデンサーC2としては、ライン電源バイパス用の定格値のものを使用する。

 Q1のパワーMOSFETとしては、ブレークダウン電圧が適切で、オン抵抗が小さければどのようなものでもよい(例えば、「MTD1N60E」「IRF820」など)。また、コイルL1は、周波数100kHzで、連続350mA以上の電流を許容できる必要がある。Coilcraftの表面実装型コイルである「RFB1010」や「DR0810」シリーズから選択するとよいだろう。あるいは、試作レベルであれば、適当な材質のコアに線材を巻いた自作コイルでも構わない。オプションとしてオプトカプラー(光アイソレーター)IC2を付加すると、IC1のFB端子の電圧を制御する方法により、照明のマイコン制御が可能になる。

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