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漏れインダクタンスを使用したフライバックコンバーター(1)ハードウェア概要電源設計(4/5 ページ)

» 2016年12月15日 11時00分 公開

簡潔なサイクル単位モデル

 上記の計算結果と波形を検証するために、40%のデューティ比で動作し、60Wをわずかに上回る電力を供給する簡潔なフライバックコンバーターをキャプチャーしました。電気回路図を図5に示します。漏れインダクタンスは50μHに設定されており、600μHの1次側インダクタンス(8.3%)を想定している場合は、疎結合のトランスを意味することになります。

図5:この簡潔モデルはフライバックコンバーターのシミュレーションに使用でき、基本的な波形を明示する (クリックで拡大)
図6:上記の全イベントを示す波形 (クリックで拡大)

 シミュレーションから、C2両端の電圧がVclpに等しい以下の動作ポイントを抽出できます。

Ip=1.77A

Iv=672mA

Vclp=528V

 (14)で表記される漏れインダクタンス磁化時間について、176ナノ秒の測定結果が得られました。したがって、65kHzのスイッチング周波数を使用する場合、デューティ比d1は次のようになります。

 理論的には、トランスの巻線比Nが0.25の場合、このフライバックコンバーターの出力電圧は、式(20)の定義に従って20Vに等しくなります。代わりに式(21)を適用する場合、出力電圧は、実際は次式に等しくなります。

 シミュレーションの出力電圧は図7に示す通りであり、この値が正しいことを確認できます。シミュレーションで使用したダイオードの順方向電圧降下が0Vに等しいことに注意してください。ダイオード・モデルで拡散パラメーターNを10mに設定すると、この結果を得ることができます。

図7:上記の全イベントを示す波形 (クリックで拡大)

 漏れインダクタンスのリセット時間が分かれば、出力電流も高い精度で計算できます。シミュレーションの結果、672mAの谷電流および、672mAのピーク電流という値が得られました。式(16)を適用し、528Vのクランプ電圧(図5でC2両端の電圧)を考慮すると、漏れインダクタンスのリセット時間は次式のようになります。

 また、この値は次のデューティ比に対応します。

 スイッチがオフになってから193ナノ秒後に漏れインダクタンスがリセットされた時点の2次側ピーク電流を推定することもできます。式(13)を適用すると、次の値が得られます。

 図3の下側にある波形から、曲線を形成するさまざまな領域を計算することで、ダイオード内および負荷内を循環する平均電流を求めることができます。

 数値を代入すると、次のようになります。

 この値は図8に示す波形ビュワーで得られたものです。

図8:シミュレーションで得られる2次側平均電流はピーク電流およびさまざまな低デューティ比のd1、d2に依存 (クリックで拡大)

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