ホームネットワーク向け無線規格として注目を集める「Thread」を解説する本連載。今回は、Threadネットワーク内のノードと外部ネットワークにある他のデバイスとの接続を行う役割を持つ「ボーダールーター」のオペレーションと任務実行の例を解説する。
あらゆるデバイスやセンサーがつながる「IoT(モノのインターネット)」時代を迎え、ホームネットワーク向けに注目を集める無線規格「Thread」。本連載は、Thread Groupが発行するホワイトペーパーから、Threadの詳細を解説している。
<Thread Groupが公開するホワイトペーパー>
1. Thread Overview
2. 6LoWPAN
3. Security & Commissioning
4. Boarder Routers
5. Battery Operated Devices
前回は「Boarder Routers」から、Threadネットワーク内のノードと外部ネットワークにある他のデバイスとの接続を行う役割を持つ「ボーダールーター」の有効性や種類について紹介してきた。今回は、そのオペレーションと任務実行の例を解説していく。
Threadネットワーク内部のオペレーションとしては、ボーダールーターはディスクリートのサービスや機能を提供する。その内、幾つかは複数のインタフェースを持つことに関連する。また幾つかのサービスは、ネットワークの状況やシステム構成に依存して、それらの機能やサービスを有効もしくは無効にすることに影響するため、ランタイムで動的に提供されるオプションとなる。
下記の表は、それらの関数を有効/非有効にするイベント情報を含めた一覧である。
ボーダールーターの機能/役割 | 機能が実施される条件 |
---|---|
外部ルーティング (デフォルトルートを含む) |
この役割は上位層のアプリケーションで有効/無効などの設定ができる。外部ネットワークとの接続を失った際は無効化される。 |
Thread内部ルーティング | Threadネットワークスタックにて自動で運営される。 |
外部プレフィックス ネットワークデータのサーバ |
上位層のアプリケーションで管理され、Threadネットワークスタックで実行される。外部ネットワークを使用し、複数のボーダールーターが同調して役割を担うことができる。 |
Threadリーダー | Threadネットワークスタックにて自動で運営される(外部ルーティングの役割とは関係しない)。 |
コミッショナー | 上位層のアプリケーションで管理される。リーダーへのペティショニングが必須で、役割を担うためには選ばれる必要がある(外部ルーティングの役割とは関係しない)。 |
ジョイナールーター | Threadネットワークスタックにて自動で運営される。 |
コミッショニングリレー | Threadネットワークスタックにて管理される。ハイレベルのアプリケーションでコンフィギュレーションがされる。 |
サービス ディスカバリー サーバ | 上位層のアプリケーションで管理される。 |
ここからは、Threadネットワークの生成とオペレーションについて、あるシナリオをベースに解説していく。
初期状態における機能や役割は、新しいThreadネットワーク形成を行う同一デバイスに集約され、そのデバイスがリーダーとなる。さらにデバイスがネットワークに参加し、ユーザーが外部コミッショナーを選択すると幾つかの役割が移管されていく。
BR1ノードがThreadと外部ネットワークのインタフェースを両方持ち、ボーダールーターとして機能している。しかし、Threadネットワークとしては基本的に参加する1つのデバイスとして、最低限の境界だけの機能となる。外部ネットワークのインタフェースはホームネットワーク(有線もしくは無線LAN)とインターネットへのアクセスができるよう構成されプロビジョニングも完了していると期待される。
このシナリオは、外部インタフェースもThreadネットワークに割り当てられるノードのアドレスに使われる/64 IPv6プレフィックス自動構築を委任すると想定する。
ボーダールーターの役割:リーダー、グローバルプレフィックスのサーバ
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