図2の下側にあるC1がおそらくサブ電源の電解コンデンサーで、右側のハイブリッドICがサブ電源の制御ICと思われた。実装したままでC1の容量を測定したが、正確な容量の値が得られなかった。コンデンサーを外して測定する他ないようだ。
電解コンデンサーC1のすぐ上には放熱板がありトランスをスイッチングするFETの放熱を行っていた。その左側には発熱する電力抵抗が3本ある。このモータードライバーは電解コンデンサーのC1側が上側に設置されるので電解コンデンサーは常に加熱され劣化しやすい環境にあった。おそらく、この電解コンデンサーを交換すればサブ電源の電圧変動は収まるだろう。
電解コンデンサーを交換する前に、トランジスタの周囲に気になるものが見えたので、確認を行うことにした。サブ電源部をトランス側から見た写真を図3に示す。
図3の通り、にトランジスタとトランスの間を接着剤のようなものが充てんしてあった。ハンダ面も同様に接着されている。回路の接続を確認するため、この接着剤(のようなもの)をはがそうとしたら、予想外の事態が発生した。今思えば、余計な作業をしてしまったものだ……。
予想外の事が起こったのは、接着剤をはがすためAC200Vの電源を切って数分経った後だった。ピンセットでハンダ面側の接着剤をはがしている時に"バチッ"いう嫌な音が聞こえ、抵抗が焼けた臭いがした。
基板に実装された部品を詳細に確認していくと、図3の左下にある抵抗器R1(0.47Ω)が断線していた。これは電源回路の電流監視抵抗だろう。トランジスタのFETを単体で確認したらドレインとソースが短絡破損していた。
なぜ短絡したのだろうか? 不思議に思いつつFETの放熱板をよく見たら絶縁材が入っていない。
後に調べて分かったのだがAC電源を切って30分ほど経過しても、一次電源のコンデンサーに整流電圧が残るようだ。十分にコンデンサーが放電するのを待って作業したつもりだったが、ほとんど放電されていなかったのだ。このため、高電圧がFETのドレインを通して放熱板にかかっていた。ピンセットで接着剤をはがす際に、放熱板(FETのドレイン)とゲートを短絡してしまった可能性が高い。
あらためて、放熱板とFETのドレイン端子の接続を確認してみた。図4に示す。
黒い塗装の放熱板とFETのドレインは固定ネジを通してしっかりと電気的につながれていた。まさかと思ったが、この放熱板には通電時には常時DC300Vの電圧がかかっていたのだ。DC300Vはかなり危険な電圧だ。人が触れやすいこんな場所に、まさか高電圧電源がかかっているとは思わなかった。ああっ、思わぬ落とし穴にはまって、サブ電源を壊してしまった……。
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