ある種のアプリケーションでは、DC-DCコンバーター内部の変調動作についてより詳しく知っていると役に立つことあります。デューティサイクル信号は、大抵の場合、モジュール外部から直接アクセスすることはできません。しかし、経験から言うと、入力ノイズまたは出力ノイズを注意深く読みとれば、デューティサイクル信号についての情報を得ることができるものです。
最小デューティサイクルδMINは、パラメーターVIN=VIN,MAXとIOUT=IOUT,MINによって決まり、最大デューティサイクルδmaxは、パラメーターVIN=VIN,MINとIOUT=IOUT,MAXによって決まります。時間Tは、DC-DCコンバーターの動作周波数なので定数です。図4は、どのようにしてデューティサイクルが入力電流波形から導き出されるかを示しています。
設定点精度とも呼ばれる出力電圧精度特性は、出力電圧の規定許容誤差を示します。パラメーターは、通常、公称出力電圧の何パーセントかで表されます。標準的な条件は、室温、全負荷、公称入力電圧です。
出力電圧が不正確になる要因は、部品公差、特に抵抗分割器にあります。抵抗分割器は、出力電圧をPWMコンパレーター(連載第9回の図5参照)のレファレンス電圧まで低下させます。出力電圧が1.5Vdcより高い場合,普通は1.22Vのバンドギャップ電圧レファレンスを使います(バンドギャップ電圧レファレンスは、2つのPN接合を使い、一方の温度係数が他方の温度係数を打ち消すことで安定した電圧レファレンスを作り出すようになっている)。
出力電圧が5Vの場合、抵抗分割器の比は3:1になります。そのため、抵抗器の公差が1%であれば、出力電圧の精度は3%になります。さらに、理想的な抵抗値ではなく一番近い標準抵抗値の抵抗器が使われる可能性もあり、これがさらなる誤差を生みだします。
安定型コンバーターの中には、出力電圧を一定の範囲内、通常は±10%以内にレギュレーションすることのできるトリム機能を備えているものがあります。この場合は、トリムピンをオープン(不使用)にして精度を測ります。
非安定型コンバーターでは、出力電圧は負荷に依存します。もし公称出力電圧が、負荷が100%のときに正確になるように設定されていたら、負荷が100%を下回る場合、出力電圧は常に公称電圧より高くなるでしょう。つまり、コンバーターを使用できる負荷範囲が狭くなるということです。そのため、出力電圧は通常、負荷がおよそ60〜80%のときに正確になるように設定されます(連載第6回の図5参照)。従って全負荷時には、出力電圧は常にVNOMよりやや低くなります。
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