感度の高いセンサーを用いたデータ収集システムは、故障状態に対応できるように設計する必要があり、システムを構成する部品の損傷を防止する工夫が求められる。そこで、感度の高い部品を信号経路の電圧過渡現象から保護する回路を紹介する。
航空機には感度の高いセンサーを用いたデータ収集システムが組み込まれる。このようなセンサーシステムは、故障状態に対応できるように設計しておくべきである。センサーの故障によって大事故が引き起こされる可能性があるからだ。このため、システムを構成する部品の損傷を防止する工夫が必要になる。
図1にチャンネル保護回路を示す。pチャンネルMOSFETと、それに直列に接続した2個のnチャンネルMOSFETで構成した。電源電圧VDDおよびVSSが印加されていても、いなくても、データ収集システムに組み込んだ感度の高い部品を信号経路の電圧過渡現象から保護できる。
このチャンネル保護回路は、通常の動作時は信号経路に対する直列抵抗として振る舞う。入力電圧が電源電圧(VDDあるいはVSS)を超えるとMOSFETの1つがターンオフし、出力電圧を電源電圧の範囲内にクランプ(制限)する。過電圧が発生したときや、電源電圧が供給されなくなったときに生じる電圧過渡現象から、後段に接続した部品を保護できる。電源供給の有無に関係なく動作するため、電源の立ち上がり順序を保証できないシステムや、活線挿抜が必要なラックシステムに適する。
図2は、チャンネル保護IC「ADG465」に電源電圧を超える過電圧が入力された場合の動作を示す。この保護ICは図1に示した保護回路を内蔵している。故障状態によって発生した過電圧を、電源電圧からMOSFETのしきい値電圧を差し引いた電圧値にクランプする。正の過電圧が入力された場合のクランプ電圧(VCLAMP)はVDD−VTNになる。ここでVTNは、内蔵したnチャンネルMOSFETのしきい値電圧で、標準1.5Vである。一方、負の過電圧が入力された場合のクランプ電圧はVSS−VTPになる。ここでVTPは、内蔵したpチャンネルMOSFETのしきい値電圧で、標準−2Vである。
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