今回は三相電源の接続を監視する反相回路を持ったコントローラーの修理について報告する。
半導体製造装置に使用されている減圧機器のコントローラーの修理依頼があった。この減圧機器では三相モーターを回転させて負圧環境を作りウエハーの表面の加工を行う。減圧機器で注意しなければならないのが三相モーターの回転方向だ。三相モーターを使用した機器は三相電源のR、S、Tの順番を正しく接続すれば、正方向で回転し減圧できる。しかし順番を間違えると、モーターが回転しなくなったり、逆回転したりする。もしモーターが逆回転すると、負圧ではなく陽圧を作り出してしまい減圧機器を破損させることがある。今回は三相電源の接続を監視する反相回路を持ったコントローラーの修理について報告する。
反相回路と聞いてピンとくる読者は少ないと思う。筆者も反相回路の名前は聞いたことはあったが、このコントローラーを修理するまでは正確に把握していなかった。
修理依頼された減圧コントローラーの不具合内容は『今までは正常に動作していたが、電源を切って再投入したら表示が点灯せず、ブザーが鳴って動作しなくなった』というものだった。「装置内部のスイッチング電源が劣化して、電圧が下がって動作しなくなったのだろう」と軽く考えて、修理を引き受けた。なお機器の名前やメーカー名が分からないように配慮した。修理依頼品の写真を図1に示す。
図1は減圧コントローラーのカバーを外した写真だ。非常停止スイッチもあり、アラームの監視を厳しく行っていた。機器の構成を把握するため機器の上から確認した。図2に示す。
このコントローラーはトランス、電磁接触器、リレーの他にスイッチング電源、リレー基板と2枚の基板で構成されたシーケンサで構成されていた。試しにスイッチング電源のAC配線を外し、AC100Vを直接、通電したら機器が立ち上がった。パネル表面の表示も点灯したが、センサーは接続していないので、アラームのブザーが鳴動した。客先からの不具合情報とは少し動作が違った。
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