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DC-DCコンバーターの絶縁と出力リップルDC-DCコンバーター活用講座(18) データシートの理解(4)(3/4 ページ)

» 2018年05月21日 11時00分 公開

絶縁抵抗と容量

 入出力抵抗と容量はAC信号で測定する必要があります。絶縁抵抗は、通常Megger(メガー)またはそれに類する測定器を用いて500Vdcで測定され、一般的には10GΩ以上あります。絶縁容量は、基板上のフィルターコンデンサーの影響を無くすために1MHzの高周波数で測定しなくてはなりません。絶縁容量はトランスの構成によって5pFから1500pFの間で変動します。超低電流の測定では常にそうであるように、結果は空気中の湿度と温度に大きく影響されます。

動的負荷応答特性

 動的負荷応答特性(DLR)は、ステップ的な負荷変動に対するDC-DCコンバーターの反応です。2通りの定義が可能です。1つは、出力電圧が出力電圧の規定許容範囲に戻るまでにかかる時間で、もう1つは、公称出力電圧または定義されたDLRからの出力電圧の最大偏差です。どちらも知っておかなくてはならないことですが、多くのデータシートではセトリングタイムしか規定していません。しかも、25%から100%までの負荷を用いているメーカーもあれば、50%から100%までの負荷を用いているメーカーもあり、マージンを示さずに単に「25%のステップ変化」とだけ言っているメーカーもあります。そのため、異なるメーカーのデータシートをそのまま比較することはできません。多くの場合、コンバーターを自らテストすることが唯一の確実な方法です。

 どのようなコンバーターであれ、負荷が急に減少すればオーバーシュートし、急に増加すればアンダーシュートします。セトリングタイム(TOVERSHOOTかTUNDERSHOOTのどちらか大きい方)は、主にPWMコントローラー内の補償ネットワークに依存します。ネットワークは、ステップ的変化に対して素早く反応することと過剰反応をしてリンギング出力を発生させないこととの間でバランスをとる必要があります。理想的な反応は「非周期的」であることで、非周期的とは、出力電圧が1方向に1度だけ逸れるということです。

図4:ステップ負荷変動に対する安定型コンバーターの応答

 上の波形は非周期的な反応で、下の線は、補償ネットワークがうまく機能していないために出力がリンギングしています。

 多くの電子負荷は、プリセット可能な2つの負荷を自動的に切り替えるステップ変化機能を搭載しています。しかし、電子負荷が入手できない場合は、図5に示すように、2つの負荷抵抗と1つのFET、そしてそれを駆動する方形波発生器を使って、動的負荷テスト装置を簡単に作ることができます。

図5:動的負荷反応特性テストのテスト装置

 アプリケーションの中には、出力電圧が非常に安定していることと、どんな出力電圧のリンギングも生じることなく負荷のステップ変化に素早く反応することの両方が要求されるものもあります。例えば、多くのデジタル回路では、負荷が急変しても出力電圧は厳密にレギュレーションされていなければなりません。もし前もって負荷の変化を予測できるか検知できるかすれば、負荷が変化する間に補償ネットワークを「遅」から「速」へと切り替えることができます。

 アナログコントローラーでは、これは簡単なことではありませんが、デジタルコントローラーならDLRはプログラム可能です。これは、デジタルコントローラーがアナログコントローラーに勝る大きな利点の1つです。

 負荷が急変すると出力電圧が変化しますが、入力電圧が急変してもまったく同じように出力電圧は変化します。このパラメータがデータシートに規定されていることはまずありません。というのは、入力電圧の急激な変化が起こるアプリケーションというのはあまりないからです。もし、ベンチ電源装置が、方形波発生器に接続できる外部制御入力かトラッキング入力を持っていれば、テスト装置は比較的簡単に作ることができます。

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